ヒット曲を聴く場から、いい曲を発見する場に
──紅白の今後についてどう思いますか?
堀尾:こうしてみると今回の出場歌手には、カタカナ名の歌手が多い。“知らない人で、知らない歌”っていうWパンチ。でも聴いたら「はぁ、これいい曲だな」って発見することが多くなりましたね。
田中:紅白が新しい曲と出合う場になっているんですね。
合田:かつては一年の締めくくりにその年のヒット曲を聴いた紅白。それが平成以降は世代間でいい曲を発見する場になった。
田中:そういった面でも時代の変化を感じますね。
堀尾:少し脱線しますが、ぼくはいま、早稲田大学で先生をしていますが、LGBTへの配慮で、事務方から男女関係なく「さん」づけで呼ぶように言われています。そうした世の中の趨勢から、「紅白は紅白のままでいいのか」という問題提起も起こりうる時代です。
合田:コロナ禍の影響で今回の紅白は視聴率も上がりそうな気がします。敗戦の年に生まれた国民的年末歌番組の力で、コロナ禍で苦しむ私たちを元気づけ、そして100年、200年と時代を超えて続いてほしいですね。
【プロフィール】
堀尾正明/キャスター。1955年生まれ、65才。埼玉県出身。1981年にNHK入局。2008年にNHK退職後はフリーアナウンサーとして『誰だって波瀾爆笑』(日本テレビ系)などで活躍。
田中稲/昭和歌謡ライター。1969年生まれ、51才。大阪府出身。大阪を拠点に昭和歌謡や懐かしブームなどのライターで紅白ウオッチャー。CREA WEBにて『田中稲の勝手に再ブーム』連載中。
合田道人/作家・音楽プロデューサー。1961年生まれ、59才。北海道出身。歌手・作家・構成作家で、日本歌手協会理事長。紅白歌合戦研究家で『紅白歌合戦ウラ話』(全音楽譜出版社)など著書多数。
撮影/浅野剛
※女性セブン2021年1月7・14日号