芸能

加藤登紀子 自粛生活で感じたもの「未来につながるコンサートを」

ジャケットもスカートも、自らの手でリメイクした、世界に1着だけのオリジナル

2020年6月のコンサートでは『百万本のバラ』や『愛の賛歌』などを歌い上げた

 人々の生活を一変させた新型コロナウイルス。音楽界では、多くのコンサートやイベントが延期や中止となり、多くのアーティストが活動できなくなってしまった。そんななか、昨年6月28日に、先陣を切ってコンサートを開催したのが加藤登紀子(77才)だ。

 本来、2020年は加藤にとってデビュー55周年を迎える記念の年だった。しかし、コロナ禍でコンサートは軒並みキャンセル。4~6月の3か月で20本近くのコンサートが中止となり、テレビの仕事もキャンセルになった。4月からは事務所も閉め、3か月近く東京の自宅で「ステイホーム」生活を送っていたという。

 自粛期間中は得意な洋裁でクローゼットに眠っていた服やステージ衣装をリメイクし、鏡の前でひとりファッションショーをしたたこともあった。また、ギターの弾き語りで“ひとり55周年ライブ”もした。加藤がステイホーム期間を振り返る。

「私なんか、『寂しいわ』と口でも言えるし、自分の部屋でギターを手に歌いながら泣けばいい。あんな歌もあったわね、あの歌詞は覚えてるかしらって、デビューから思い出していっぱい歌ったわよ(笑い)」(加藤・以下同)

 料理も、最初はひとりでは食べきれないほど作ってみたり、両親から受け継いだロシア料理店のメニューを作ったりしたこともあった。

「最初は時間があるからいろんな料理を作ったのよ。ボルシチやらピロシキやら、お店のメニューを作ってみようって。でも、いっぱい作ってもひとりなのよね。誰も食べに来られないし、ひとりだと毎食それでしょ(苦笑)。そのうち1人分の簡単なメニューになっちゃった」

 新しいことにも挑戦し、YouTubeも始めた。料理教室さながら、作り方をレクチャーしたり、ふだん実践している階段の上り下りを呼吸法のポイントを交えて紹介しながら動画を投稿していた。そんなステイホーム中に身にしみたのがルーティンの大切さだ。

「若い頃は“しきたりなんて御免被る”なんてアウトオブルーティンで生きてきたけど(笑い)、続けることは大事ね。私ね、40代半ばからストレッチを始めて30年続いてるの。やり始めた頃よりもいまの方が体は柔らかくなってるくらいよ。でも大事なのはそこじゃない。続けることなんですよね。

 よく言ってるのは『老化の段差にご注意』ということ。病気や何かの事情でいつものルーティンが崩れると異変が起きやすい年代なの。昨日のペースがわかるから、今日のペースがいいか悪いかわかる。今日のペースがわかるから明日がみえる。続けるってそういうことなんですよね。

 廊下の段差も気をつけなきゃいけないけど、老化の段差にも気をつけないと。だからルーティンって大事なんですよね」

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