歴史上の人物の生き様を1年かけて描くNHK大河ドラマは、1963年の開始以来、数々の名俳優を生み出してきた。では、視聴者にとって忘れられない「史上最高の大河ドラマ俳優」は誰なのか。『週刊ポスト』の読者1000人投票で選ばれた第1位は、『独眼竜政宗』(1987年)で伊達政宗を演じた渡辺謙、2位は『龍馬伝』(2010年)で坂本龍馬を演じた福山雅治、3位は『真田丸』(2016年)で真田信繁を演じた堺雅人、4位は『八重の桜』(2013年)で新島八重を演じた綾瀬はるか、5位は『秀吉』(1996年)で豊臣秀吉を演じた竹中直人だった。
竹中は、『秀吉』で人懐っこくエネルギッシュな豊臣秀吉を演じ、型破りで豪快な演技が話題となった。竹中はこう振り返る。
「従来の所作や形などに囚われずに演じたいです! とプロデューサーに伝えましたね。とにかく“でたらめな大河”を作ろうと」
そうして生まれたのが、第1話の強烈な登場シーンだ。織田信長(渡哲也)一行の行列に農民たちが視線を送るなか、泥のついた大根を握りしめた秀吉が、まさに「サル」のように走り回る。
「ふんどし一丁で登場しようというアイデアは最初からありました。泥だらけの大根を思いっきりかじってね」
同じ第1話では、大仁田厚演じる蜂須賀小六が、秀吉の首根っこをつかんで持ち上げる場面で、ふんどしの横から竹中の陰部が露出するハプニングも話題となった。
「見えちゃうかもしれないからって、衣装さんが事前に僕のふんどしをきれいに締めてくれたんです。でも、秀吉はそんなにきちっとふんどしは締めないだろうと僕がふんどしを緩めました。それでポロッと出たんですね。でも現場では誰も気にしていませんでした。とにかく、現場の雰囲気が熱かったことを覚えています。常にテンション高く最後まで駆け抜けようと死に物狂いで演じていましたね」