中高年にとってのスタミナとは?
安倍:歳とともに、食の好みや食べ方も変わってきますよね。
左古:そうですね。50歳を過ぎた頃から、体力も精力もめっきり弱くなって、集中力も低下するし、物忘れもひどくなる。スタミナ不足だなという思いが脳裏をよぎったりもするんですが、と同時に、今さらスタミナをつけたって、肝心の”使いどころ”がないじゃないか、とも思う(笑)。
安倍:ボクも別に重労働をしている訳でもないし、若い嫁さんがいるわけでもないから(笑)、そのときそのときで食べたいと思うものを自由に食べてたんですが、最近は、バランスのいい食事を心がけるようになりました。
左古:今は、栄養を補助できる薬とかサプリメントがいろいろ売ってますが、普段の食事で元気になれるなら、それが一番ですよね。実際、疲れがたまっているときに、ほんのひと口食べただけで、腹の底から元気が湧いてくるような感覚になることがある。それこそ、中高年にとってのスタミナ食なのかなと思います。
安倍:中高年にとってスタミナをつけるというのは、何かを増強するのではなくて、疲れたり体調が悪かったりする状態を回復させることなのかもしれないですね。
左古:そう思って、飲食店の人気料理や看板メニューを眺めると、おいしいだけでなく豊富な栄養が詰まっていることに気づかされます。やっぱり、高い評価を得ている名店の料理は、それ相応の理由があるんですよね、今はコロナで、心も体も調子を崩している人も多いんじゃないかと思いますが、早く収束して、そういったお店にも気軽に行けるようになるといいですね。
*本文は、新刊『スタミナ深夜食堂』の内容をもとに再編集したものです。
【プロフィール】
安倍夜郎(あべ・やろう)/1963年、高知県生まれ。CM製作会社勤務を経て、2004年に『山本耳かき店』で漫画家デビュー。『ビッグコミックオリジナル』連載の『深夜食堂』は2009年にドラマ化、2010年に第55回小学館漫画賞一般向け部門、第39回日本漫画家協会賞大賞受賞。その他の著書に『生まれたときから下手くそ』『酒の友めしの友』など。
左古文男(さこ・ふみお)/1960年、高知県生まれ。1986年に『YOKOHAMA BAY CITY BLUES』で漫画家デビュー。現在は文筆家・漫画家・編集者として幅広く活動。主な著書は『四万十食堂』(安倍夜郎氏との共著)、『コケを見に行こう!』『クセがつよい妖怪事典』などの他、企画・編集作品に漫画家・水木しげる氏の最後のインタビューをまとめた『ゲゲゲのゲーテ』がある。