そこで強い光以外にも、細胞内で5-ALAを作用させるのに必要な物質を探したところ、二価鉄(にかてつ)を加えると体内で作用し、マラリアの増殖抑制効果が高まることが判明した。
現在、北教授のグループは新型コロナを対象に研究を始めている。試験管内の新型コロナに5-ALAと二価鉄を加えた結果、増殖抑制効果が見られた。G4に加え、5-ALAの産物であるプロトポルフィリンやヘムがウイルス表面のスパイクタンパクに結合し、ウイルス自体が細胞内に侵入できなくなる作用が起きた―と考えられている。
「試験管内の新型コロナに一定以上の濃度の5-ALAを入れた場合、ほぼ100%増殖を抑えることが確認されました。再現性も非常によく、何度試験しても抑制効果は変わりません。倫理審査や共同研究契約の締結を経て、今月から投与濃度などを検証する、ヒトへの特定臨床試験をスタートさせました」(北教授)
特定臨床試験は長崎大学付属病院を中心に多施設で軽症から中等度の患者50人に実施されている。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2021年3月12日号