コカイン中毒から打点王
アルペンスキー界にも、度重なる大転倒や交通事故を乗り越えて滑り続け、「不死身」と呼ばれた選手がいる。冬季五輪、世界選手権で合計5個の金メダルを持つ、オーストリアのヘルマン・マイヤー(48)だ。
1998年長野五輪。滑降中、強風に煽られてバランスを崩したマイヤーは、防護ネットを突き破り、左肩脱臼と打撲の大怪我を負う。そのわずか3日後のスーパー大回転に出場し、大回転と合わせて2個の金を獲得、世界を驚かせた。
2001年8月にはバイク事故で、右下腿骨複雑骨折の重傷を負う。折れた骨が筋肉と皮膚を突き抜けるほどの傷だったが、2006年のトリノ五輪で復活を果たし、銀メダルと銅メダルを獲得した。
通算1134安打、200本塁打、通算打率2割9分の成績を残し、打点王と首位打者のタイトルも獲得したメジャーリーガーのジョシュ・ハミルトン(39)はまさに人生のどん底から這い上がったアスリートだった。
「ハミルトンは、1999年に高校生でドラフト全体の1位でデビルレイズ(現レイズ)に入団した超エリートでした。しかし2001年のシーズン開幕前、両親と共に交通事故に遭う。そして、復活へのプレッシャーから治療中にコカインに手を出してしまうのです。
依存症となり、何度も薬物検査に引っかかったことで、球界追放にまで追い込まれた。しかし、その後2年間の更生期間を経てカムバック。その波瀾万丈な野球人生から、一時期、映画やテレビドラマ化の話が出たほどです」(メジャーリーグ評論家の福島良一氏)