かつて付属校にあったマイナスイメージは払拭
これまで述べてきたように2021年度入試での付属校の受験者数は併設大学によって大きく異なりました。が、長い目で見ると付属校の教育自体が変化していることに気付きます。それについても触れておきましょう。
かつて付属校のイメージといえば、「学費が高い」「教育内容がゆるい(生徒が勉強しない、先生も楽をしている)」「英語が弱い」といったことがよく挙げられていました。
しかし、現在の付属校は「学費が高い」以外は払しょくされています。むしろ近年の教育のベクトルにおいては、「リベラルアーツ」「探究学習」「卒業論文」……といったことは付属校のほうが早くから行っていて、蓄積の厚みもあり、得意でもあります。大学進学への安心感がもちろん最大理由ですが、こうした教育内容に惹かれて付属校を選ぶご家庭も出てきています。
英語についても、大学側が内部推薦の基準に英検やTOEICを課すケースが増えていて、生徒の英語力は格段に高くなっています。受験用の英語ではない実践的な英語力が身に付くことも付属校の魅力です。
そして何といっても施設・設備は断然優れています。あまり知られていないことを3つほど挙げてみましょう。
・中央大学附属/中高単独で図書の蔵書数が17万冊。私が知る限り最多ですが、このほか成蹊が15万冊など、付属校はどこも蔵書が充実。
・学習院女子/女子校で理科関係の専門教室だけで8室(講義室4室・実験室4室)、このほかも美術科関係が4室、家庭科関係が5室という恵まれた施設は付属校ならでは。
・明大中野八王子/7レーンもある400mトラックがゆったり取られたグラウンド、スタンドまである野球場……思いっ切り体を動かせ、大声を出せる環境。
どうしても受験学力の養成に力を注がなければならない進学校と違い、付属校はそれぞれに独自の魅力を持って教育に当たっています。