春場所3日目から休場となり、現役続行の土俵際まで追い詰められた横綱・白鵬だが、“引退後”を巡る事情が一変しつつある。場所直前、親方として協会に残るために必要な「年寄株」の手配に目処が立ったという情報が駆け巡った──。
東京・両国国技館での開催となった春場所は、場所前から荒れに荒れた。
初日を3日後に控えた3月11日、横綱審議委員会から昨年7月場所以降の連続休場を咎められ、史上初の「注意」の決議を受けていた横綱・鶴竜が、またもや休場を表明。
「そして、同じ日に関係者を驚かせたのが、横綱・白鵬の年寄株を巡る報道です」(協会関係者)
鶴竜と同様、4場所連続休場中だった白鵬が〈年寄「間垣」取得へ〉(スポーツ報知、3月11日付)と報じられたのだ。
力士が引退後も協会に残るには、105ある「年寄名跡(年寄株)」のいずれかを襲名しなくてはならない。元横綱は引退後も5年間は現役時代の四股名のまま協会に残れる特例があるものの、その期間を過ぎて株がなければ廃業となる。
「鶴竜が一昨年亡くなった師匠(元関脇・逆鉾)の『井筒』を受け継ぐのが既定路線なのに対し、白鵬は株が手に入る目処が立っていなかった。そこに『間垣』を取得するという報道が出たのです。通常、報道は“株を取得した”という段階で出るもので、“取得へ”という記事は異例です」(同前)
年寄株は権利を持つ親方が退職しない限り、席が空かない。「間垣」取得が浮上したのは、初場所中の時津風親方(当時、元前頭・時津海)のスキャンダルがあったからだ。
元・時津海は初場所中の雀荘や風俗店への出入りが週刊文春に報じられ、2月に退職に追い込まれた。名門・時津風部屋は、部屋付き親方だった元前頭・土佐豊が継承することになった。
「元・土佐豊が名跡交換で『時津風』となり、それにあたって元・時津海との間で交換された株が『間垣』なのです。名跡は協会預かりとなるものの、空き株の権利は元・時津海にある。本来、時津風一門の株が、伊勢ヶ濱一門の白鵬に渡るとは考えにくいが、角界と完全に縁が切れる元・時津海なら、一門外でも好条件で交渉できそうな白鵬に渡しておかしくない」(若手親方)