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下重暁子の生き方論「いい人と思われることになんの意味があるのか」

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下重暁子さんが語る、新時代を生き抜くためのルールとは?(撮影/田中麻衣)

 女性セブンで約2年にわたって連載された『夕暮れのロマンチスト』を再構成し、加筆、修正した下重暁子さん(84才)の著書『自分をまるごと愛する7つのルール』(小学館新書)が刊行された。下重さんが綴ってきた、日々を豊かに過ごすためのコツ、世の中を騒がせたニュースへの冷静な視点には、困難な時代を生き抜くための金言が詰まっている。新型コロナウイルスで一変した社会にいま、思うこととは──。

コロナ警察の横行は不寛容極まれり

 新型コロナウイルスが日本で初めて確認されてから約1年。2度にわたる緊急事態宣言や、リモートワーク、外出自粛、必須となったマスク着用など、世の中は一変した。

「コロナ禍で目についたのが、“自粛警察”や“マスク警察”といった人たち。赤の他人がどう過ごしているかについて、執拗に気にし、バッシングしたりしているという報道に触れ、不寛容極まれり、と感じました。世界から寛容の文化が消えていき、アメリカのトランプ政権が加速させた分断の時代に突入したことは明らかですが、コロナによってますますその傾向が強まりましたね」(下重さん・以下同)

 他人を気にしすぎるあまり、その行動が目につき、少しでも自分と相容れなければ“正義”を振りかざして攻撃する。根底にあるのはSNSによる、つながりすぎる社会ではないかと下重さんは指摘する。

「以前なら、何か思うことがあっても自分の内側で抱えていて、親しい人に悪口を言うくらいですんでいたけれど、いまではネット上で発信すれば全世界に拡散していく。そしてそういう攻撃を称賛したりする人がいて、ウケたりするものだから、さらにネットに自分の“意見”をたやすく表明する。

 私もスマホを持っているし、LINEもやりますけど、本当にごく親しい人、数人とだけ。みんなつながりすぎているんです。つながらなければという強迫観念に駆られて。そうすると、知りたくないことも知らなくていいことも、山ほど情報が流れ込んでくるわけです。

 そういう他人の言動にいちいち反応して、攻撃する。それで結局はストレスになっちゃうんですよ。ストレスの原因を考えると、人とつながるということですよ。人と多くつながれば、それだけストレスは増えていくんです」

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