森喜朗さんの発言だって笑える部分があるじゃない
森喜朗氏の女性蔑視発言など、世間のバッシングが高まる事象でも、捉え方は大きく変わる。
「自分の中にもああいう差別的な感情はないか、悪気はないのにうっかりよからぬ発言をしてしまうことはないか、そう考えるとどうですか? 自分にも少なからずそういう一面があるということを知っていて、それも自分だと受け入れて赦していれば、他への想像力も働き、赦すことができるようになる。
森さんの発言だって、あぁまたやってしまったなとどこか笑える部分がありますよ。あんなこと言ったら叩かれるってわかっているのに言ってしまう。だけど女性たちだって“男らしくない”とか“仕事ができない男なんて”と軽口を叩いたりしますよね。自己愛というと、ナルシシズムのような自分勝手なイメージがあるかもしれませんが、真逆。自分を愛することで他人を大切にすることができるんです」
つながりすぎる社会の中で、他人の言動を気にし、他人からの視線を気にする生き方から解放されれば、多くの人が抱える“生きづらさ”が解消されるはず、と下重さんは言う。
「大事なのは、他人からどう思われるか、ではありません。自分のことを自分がよくよくわかっていればそれでいい。いまの世の中はいい子になりたい人が多いけれど、いい人と思われることになんの意味があるんでしょう。
自分のことを本気で思ってくれる人なんてそうそういませんよ。家族だって、恋人だって、友達だって自分がいちばん大事。それでいいんです。だからこそ、他人に何か言われても、どう思われても、“そう?”と聞き流してしまえばいいんです。こうしてほしい、こう思われたいなんて人に期待するのではなく、自分に期待する。他人があって自分があるのではなく、あくまで主体は自分なのですから」
下重さんが実践するルールは7つ。ぜひ本書を手にとり、明日への指針にしてほしい。
【プロフィール】
下重暁子(しもじゅう・あきこ)/1936年生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。アナウンサーとして活躍後、民放キャスターを経て、文筆活動に入る。『家族という病』『極上の孤独』『明日死んでもいいための44のレッスン』など著書多数。
※女性セブン2021年4月15日号