4月2日公開の『ホムンクルス』、9日公開の『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』と、今月公開の2本の映画に出演している女優・岸井ゆきの(29)。脇役から主役まで、役の大小にかかわらず観客を魅了する彼女が今の時代に求められる理由を探った。
高校時代の2009年にテレビドラマ『小公女セイラ』(TBS系)で女優デビューを飾った岸井。2011年に『ランウェイ☆ビート』で映画初出演を果たすと、同年11月には劇団・モナカ興業の公演『43』で舞台にも初めて出演し、役者としてのキャリアを積んでいった。
その後、数多くのテレビドラマや映画で活躍。バイプレイヤーとして起用されることが多かったものの、2017年には『おじいちゃん、死んじゃったって。』で映画初主演を務め、ヨコハマ映画祭の最優秀新人賞を受賞している。
翌2018年にはNHK連続テレビ小説『まんぷく』に出演し、実年齢より12歳も下の役を違和感なく演じて注目を集めた。さらに2019年には2作目の主演映画となる『愛がなんだ』が公開。若い女性を中心に話題を呼び、日本アカデミー賞では新人俳優賞を受賞した。
主役も脇役も印象深い演技を見せる彼女の魅力について、映画評論家の小野寺系氏はこう語る。
「まだ29歳ですが、17歳でTVに出演してから、もう12年ものキャリアがある俳優で、かなり広範囲の役をこなせる実力があります。
小柄で幼い顔立ちをしているので、26歳のときにNHK連続テレビ小説『まんぷく』で14歳の役を演じたのは驚異的でした。演技力ももちろんですが、ノーメイクだとあっさりした顔立ちになるからこそ、幅広い年齢を演じられる。髪型やメイクで全く異なる印象を与えられるのは、一種の才能だと思います。昨年もドラマ『浦安鉄筋家族』で高校生の役を無理なく演じています。
これまで脇役が多かったですが、それは演技力の面でも容姿の面でも様々な役に対応できる器用さがあり、重宝されていたところがあるからだと思います」