当初はコロナに伴う緊急事態を想定していなかったEてれ『すたあと』の一場面。身体的接触を減らし、オンラインを使って行うゲームやCGを使ったキャラクターを登場させるなど演出を工夫した(写真提供NHK)

当初はコロナに伴う緊急事態を想定していなかったEテレ『すたあと』の一場面。身体的接触を減らし、オンラインを使って行うゲームやCGを使ったキャラクターを登場させるなど演出を工夫した(写真提供NHK)

 妹尾さんは教員たちからそんな悩みを聞いたと語る。

「小学校に入ったばかりの子供は初めて経験することばかりで大きなストレスを抱えることが多い。『つらい』『たいへん』と素直に言える場合はいいが、それをがまんしてしまうおとなしい子ほど表情やサインを読み取ってSOSを察知する必要があります。しかしマスク姿ではそれが難しく、教員が子供の変化に気づくことができなかったケースも多かったのです」(妹尾さん)

 マスク生活は今年も続き、握手やハイタッチなどスキンシップが制限される現状は、友達づくりに支障が出るのではないかという声もある。

小学1年生は“生きていくしんどさ”を初めて背負う年代

 NHK Eテレ『すたあと』は、幼稚園や保育園の教育と小学校教育を円滑につなぐことを目的とした番組だ。歌やゲームなどを交えたプログラムをクラスメートと一緒に見ながら実際にやってみることで、新1年生に楽しみながら新生活になじんでもらおうという趣旨だ。だが2020年4月の放送開始時、小学校は一斉休校の最中だった。同番組チーフ・ディレクターの服部里衣子さんが振り返る。

「本来、低学年はスキンシップによって相手からの愛情を感じ、親しみを持ったり友達になったりして、人間関係が発達する段階です。ですから、クラスメートと手をつなぐなどの要素を番組にふんだんに入れ込む予定でしたが、そうした演出を変更せざるを得なくなり、オンラインで友達と遊べるゲームを紹介するなど、コロナ禍でも子供たちに真似してもらえる内容にしました」

 いつもと異なる学校生活のなかで、懸念されるのは当事者である子供への影響だ。

「少し大げさかもしれませんが、小学1年生は“生きていくしんどさ”を初めて背負う年代だと思います」

 そう語るのは作家のあさのあつこさんだ。

「幼稚園や保育園などの自由な遊び場から、急に規律のある教室にポンと入れられ、“自分は周囲に合わせないといけない”と人生で最初に感じるのが小学校生活。遥か遠い記憶ではありますが、私自身も1年生になったばかりの頃は環境の変化へのとまどいもあって友達と妙にぎくしゃくしていたように思います。

 友達とは同じ幼稚園から進級したのに、やっぱりなんだか違う感じがする。そんなふうに、ただでさえ戸惑い苦しむような状況に、未来に希望が見えないコロナ禍が加わって、子供たちはますますつらい状況にあったのではないでしょうか」(あさのさん)

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン