悪路のタッチは「ほとんどラリーカー」
ドライブ中、茨城の筑波山に寄り道。その山稜にある表筑波スカイラインは10kmほどの長さのワインディングロード。「〇〇スカイライン」と名の付く道路は全国にあるが、その爽やかなネーミングとは裏腹に荒れ放題になっているところが多い。表筑波スカイラインもそのひとつで、舗装は老朽化してひび割れだらけ、路盤はアンジュレーション(うねり)の嵐である。
そんなバンピー(跳ねやすい)な路面では、クルマが上下に大きく揺すられるさいにタイヤへの重さのかかりが減少し、タイヤグリップが失われたりするのが常だ。が、驚くべきことにGRヤリスはその表筑波スカイラインを走ってもほとんど跳ねないのだ。
サスペンションは普段走っている時には固く感じられるのだが、こういう道では路面のうねりに対して実にスムーズにグニャグニャと動き、タイヤを舗装面にしっかり押し付け続ける。
そのタイヤはミシュランの「パイロットスポーツ4S」というハイグリップモデルで、幅は225mmとこのクラスには過ぎたるもの。結果、ものすごく安定し、ものすごく速い。もちろんこのままの仕様で競技に出るわけではなかろうが、タッチはほとんどラリーカーだ。
もちろん量産車なので、お楽しみ装備もついている。GRヤリスのターボモデルはフルタイムAWDだが、前後輪にそれぞれどのくらいのエンジンパワーを配分するか、3段階に調節できるようになっている。普段用の「ノーマル」は前60:後40だが、「スポーツ」にすると前30:後70となり、後輪駆動のような動きになる。そして競技フィールドを表す「トラック」は前50:後50の均等だ。
切り替えて走ってみると、前後のサスペンションのロールの割合が変わる。少し走り慣れた人ならその違いはすぐに体感できるだろう。が、クルマの性格がそれで変わるわけではなく、動きが違うだけでタッチは同じである。ちなみに最もバランスが良く感じられたのは均等配分のトラックで、表筑波スカイラインを去った後もほとんどトラックに入れっぱなしで走っていた。