ビジネス

トヨタ「GRヤリス」は買って後悔しないのか 自慢の俊足ぶりや乗り味を確かめた

トヨタ「GRヤリス」(RZハイパフォーマンス)

トヨタ「GRヤリス」(RZハイパフォーマンス)

 昨年9月に発売されたトヨタの本格スポーツカー「GRヤリス」。WRC(FIA世界ラリー選手権)で勝つために開発されたモデルというだけあり、その“俊足ぶり”は折り紙付きだが、実際に公道を走らせた時のパワーや乗り心地はどうなのか──。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が試乗レポートする。

 * * *
 フロントマスクとテールエンドはほぼ「ヤリス」だが、ヤリスより110mmも広い全幅1805mmのド迫力ハッチバッククーペボディをまとうトヨタ自動車のスポーティモデル「GRヤリス」。

GRヤリス RZハイパフォーマンス。ヘッドランプデザインはノーマル「ヤリス」と共通デザイン

GRヤリス RZハイパフォーマンス。ヘッドランプデザインはノーマル「ヤリス」と共通デザイン

テールランプもノーマル「ヤリス」と同一

テールランプもノーマル「ヤリス」と同一

 ヤル気満々なのは見た目ばかりではない。最高出力200kW(272ps)を発生する専用のターボエンジンやフルタイムAWD(4輪駆動)、18インチという大直径ホイールにびっちりはまるサイズの高容量ブレーキ等々を装備している。

3気筒1.6リットルターボエンジンの最高出力は272ps

3気筒1.6リットルターボエンジンの最高出力は272ps

 日本でのみ販売される88kW(120ps)前輪駆動仕様は無段変速オートマチックだが、真打であるAWDターボの変速機は6段手動のみ。サスペンションは1クラス上のカローラ用のダブルウィッシュボーン左右独立型を移植……もういいよというくらいの気合の入りようである。

 折しも世の中はSDGs(持続可能な開発目標)の真っ盛り。CO2低減の観点からスポーティなクルマへのアゲインストの風は強まるばかりで、この種のリトルダイナマイト的モデルはどんどん姿を消している。

 その中でトヨタが“火の玉グルマ”を出してきたとあって、いろいろな意味で世界から注目を浴びている。GRヤリスはノスタルジックな純エンジンスポーツ車の希少性もあってか、各国でこの種のクルマを欲するユーザーからの注文が殺到し、長いウェイティングができているという。

「速く走ることを目的とするクルマ」

 そんなGRヤリスで440kmほどドライブをしてみてみた。試乗車はハードなサスペンションを持つ走行性能重視の「RZ ハイパフォーマンス」。試乗ルートは東京を起点とし、茨城の筑波山、千葉の犬吠埼などを周遊するというもの(全区間1名乗車。エアコンAUTO)。

コクピットは十分な広さがある

コクピットは十分な広さがある

 では、レビューに入ろう。GRヤリスを走らせてみた印象を一言で表現すると「速く走ることを目的とするクルマ」だ。トヨタはGRヤリスをスポーツカーと称しているが、フィール的にはむしろ快適装備を付加した競技用車両である。

 スポーティカーには通常、ワインディングでの軽快なクルーズを楽しめるクイック感、クルマを操る感覚を味わうアンバランスさ等々、味付けが存在する。

 GRヤリスはそういった演出とは距離を置いている。味を盛り込めるような性能的余白があるなら、その分を走りに振り向けるべきと考えたかのようだ。これは世界ラリー選手権で勝つために作られたホモロゲーションモデル(出場資格を得るために一定台数以上市販される競技用ベース車)というGRヤリスの出自と無関係ではないだろう。

彫りの深いダイナミックなフォルム(GRヤリス RZハイパフォーマンス)

彫りの深いダイナミックなフォルム(GRヤリス RZハイパフォーマンス)

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
19年ぶりに春のセンバツを優勝した横浜高校
【スーパー中学生たちの「スカウト合戦」最前線】今春センバツを制した横浜と出場を逃した大阪桐蔭の差はどこにあったのか
週刊ポスト
「複数の刺し傷があった」被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと、手柄さんが見つかった自宅マンション
「ダンスをやっていて活発な人気者」「男の子にも好かれていたんじゃないかな」手柄玲奈さん(15)刺殺で同級生が涙の証言【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン