上野:ご本の中で書いておられたことが気になってお聞きしたいことがあるの。下重さんは、おつれあいに先立たれたとしても「三回りでも年下のパートナーを見つけられるような自分でありたい」と書いておられたでしょ。もしかして、亡くなるときはひとりではなく、若い男性が側にいらっしゃるんじゃないかしら?
下重:そうね、30才くらい若い男が側にいるといいわね。思い当たる節がいなくもないの(笑い)。
上野:30才も! 子供に思えて私には想像がつかない。
下重:いえいえ。私より30才下ってことは50代だから、いい年齢のいい男ですよ。
上野:たしかに。やっぱりこの国ではまだまだ家族という形が最も優遇されますからね。私も死ぬ直前に電撃結婚しようかしら(笑い)。
【プロフィール】
上野千鶴子(うえの・ちづこ)/1948年生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。日本における女性学・ジェンダー研究・介護研究のパイオニアとして活躍。社会学者、東京大学名誉教授。『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『おひとりさまの最期』(朝日文庫)など著書多数。
下重暁子(しもじゅう・あきこ)/1936年生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。アナウンサーとして活躍後、民放キャスターを経て文筆活動に入る。『家族という病』『極上の孤独』『明日死んでもいいための44のレッスン』(すべて幻冬舎)など著書多数。
取材・文/戸田梨恵 撮影/田中麻以
※女性セブン2021年4月22日号