評判社会では、いかに自分のポジティブな評価を増やし、ネガティブな評価を減らすかが死活的に重要になります。企業が行っているマーケティング戦略を、個人がやらなければならない時代がやって来る。若い世代ほどこの大変化を前提にして、どう生きるべきか考える必要があります。
「評判社会」のリスクヘッジ
それでは、どのように評判を高めればいいのか。ひとつ言えるのは、いろいろな経験をしておくことです。私たちは自分と違う体験を評価するので、「君は僕の知らない何を持っているの」とつねに問われます。プロの漁師に向かって、趣味で魚釣りをした話をしても意味がありません。相手が知らないことをどれだけ知っているか、どれだけ手持ちの札があるかが評価につながります。新しい知識や変わった体験は、評価を上げる大きなアドバンテージになります。
評判社会の大きな問題は、SNSやネットでのトラブルが電子記録として永久に残ることです。思春期の男の子や女の子が性的なトラブルを起こしたり、巻き込まれるのはよくあるでしょうが、その動画や写真が保存され、10年後や20年後に「こいつはこんなことをやった」と表に出てしまう。今後、このようなケースが大きな社会問題となることは確実です。
実際にアメリカでは、有名人の過去の差別発言や問題行動などを洗い出して激しく批判し、職業上や社会的な地位をキャンセル(抹消)しようとするキャンセル・カルチャーが猛威を振るっています。ネット大国の韓国では、双子の有名バレーボール選手が学生時代にいじめをしていたことを告発されて大騒動になっています。
こうした問題に社会はどう対応するのか。将来的には18歳未満のSNSは不問に付すなどのルールができる可能性はありますが、社会人になってからの行為は許されないでしょう。匿名で行ったことでもすぐに実名が特定されますから、いったん「人種差別」「性差別」のレッテルを張られたら人生が終わってしまいます。