「大人が子供に正解を教えて画一的に“育て”ようとする公教育が、従来のやり方でした。そうではなく、子供が主体的に“育つ”学校づくりが不可欠だ。果たして、小学1年生は何のために学校に行くのでしょうか? 私は、10年後、20年後の社会で、なりたい自分になるための土台を作るためだと考えています。

 それは、『1+1=2』といった、学校以外の場でも得られる『見える学力』ではなく、子供自身が主体的に『正解のない問いを問い続ける力』をつけることで築いていける土台です。とくに、ウイルスの収束が見えないいまの日本には『正解のない問い』が無数にある。ますます子供が主語の“育つ”力が必要になる」

 しかし、「育つ力」をさずけてくれる先生や学校の存在はまれだ。わが子に身につけてもらうためにはどうすべきか。木村さんは「4つの力」をつけることを軸に起き、子供と対話することで子供は「育つ力」を身につけることができると提言する。

「『人を大切にする力』『自分の考えを持つ力』『自分を表現する力』『チャレンジする力』。この4つの力を小学校の最初の一年間、まっさらな心の根っこにしっかりと植え付けることが、10年後20年後の社会で『生きて働く力』につながるのです。この『見えない学力』を子供が自分から身につけるためには、とにかく子供の心の声を聞かせてもらえる大人の自分が変わることです。例えば、友達とケンカしてしまった時も多くの人が『人を叩いたらダメ』などと“正解”を教えるかもしれない。

 だけどその前に『あなたはどう思う?』や、『私はこう思うけど、あなたは?』と問いかけることを大事にした対話をしてみたらどうでしょう。個の経験値が重なることで、子供は自分で考え、判断し、行動します。失敗したらやり直せばいいだけです。自分の考えで行動して失敗しても人のせいにはしません。自分から自分らしく自分の言葉で語る子供の事実が目の前にあるはずです。

 正解があるということは、間違いもあるということ。間違いがあれば、正解以外は表現しづらいし、仮に正解以外の答えを言えば、“失敗”と捉えてしまうかもしれません。すると今度は、失敗を恐れてチャレンジしようとしなくなります。一方、正解がなければ、誰も『それは間違いだよ』と排除しません。安心してみんなの前で表現できますよね。そうすると、どんどんチャレンジできるし、失敗もできます。算数や国語の答えと、『自分をつくる』ために学ぶ学びの場での『正解』は大違いです」

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