親方とオーナーが違う状態は、様々なトラブルにつながりかねない。
「離婚裁判の末に相撲と関係ない第三者に売却されたら、部屋の存続も危うくなる。双葉山以来の伝統がある部屋です。移転すればいいという話では済まない」(前出の時津風一門の親方)
現親方の元・土佐豊は、仮差押の事実を告げると、「えっ!本当に?」と驚きを隠さなかった。
「初めて聞きましたよ。3月? そんな前に? (不動産登記の写しを見せると)本当だ……いや、なにも知らない。(どう対応するのかの問いに)マジでいま初めて聞いたところだから、そんなことわからないよ」
騒動は角界全体に波及する。引退の瀬戸際にある横綱・白鵬の今後にもかかわるのだ。協会に残るために年寄株を確保しなくてはならない白鵬だが、目処は立っていない。
「取得の見込みがあるのが『間垣』株です。元・土佐豊が襲名していたが、元・時津海の退職に際して名跡交換が行なわれた。つまり、株の権利を持つのは元・時津海。離婚裁判でカネがいるとなれば、白鵬が株の譲渡を受けられる公算も大きくなる」(時津風部屋後援者)
部屋の親方と物件の所有者が異なる問題を放置してきた協会に見解を問うと「お答えすることはありません」とするのみ。
角界の名門は、どこへ向かうのか。
※週刊ポスト2021年5月28日号