ライブ配信で動物の元気な姿を伝える

 開園から100年以上の歴史があり、今年から地方独立法人(独法)としての歩みを始めた大阪の天王寺動物園(動物180種・1000点)もそのひとつだ。5月1日から5日までを「ライブ配信ウィーク」として、毎日20~30分程度、動物の姿をリアルに伝えるライブ配信を行った。

 1日目はペンギンの赤ちゃん「トキ」の体重測定。入園者が立ち入ることができない飼育エリアにいる生後26日目の赤ちゃんペンギンを、飼育担当の女性がそっと抱え、体重計に載せて体重を測定するシーンを伝える。その中にQ&Aを盛り込み、視聴者に成長の様子を説明するといった内容だ(現在も同園のYouTubeチャンネルで視聴可能)。

ペンギンの赤ちゃんの体重測定(大阪・天王寺動物園)

ペンギンの赤ちゃんの体重測定(大阪・天王寺動物園)

 独法としてのスタート元年にいきなりコロナ禍で休園となったわけだが、その影響はどうなのか。

「やはり入園者の方がいらっしゃらないので入園料収入の減収がいちばん大きな影響ですね。その一方で、(業者への)委託料は減っています。動物たちの飼育に関しては、休園以前と同じ環境で飼育しています」(担当者)

 同園の年間の入園料収入は約5億1000万円(平成29年度)だから、これをベースにして考えると、仮に休園期間が1か月に及ぶとすると単純計算で約4200万円の減収となる。独法に移行したとはいえ、大阪市からの運営費交付金はあるので経営に大きな影響を及ぼすことにはならないだろうが、すっかり出鼻をくじかれた格好だ。

 ライブ配信については、実は昨年もコロナ感染対策の一環として実施していたという。

「毎年、暑さが苦手なホッキョクグマに大暑の日に氷柱をプレゼントするイベントを開催しているのですが、昨年は密になってはいけないのでお客さんのいない休園日(7月20日)に行い、その様子をライブ配信しました」(前出の担当者)

 そうした実績が今年の配信に生かされたわけだ。動物園の魅力、人気動物たちの生態をリアルに伝えることで、動物園に来られない人々に、動物園への関心を抱き続けてもらおうという営業努力である。

 ライブ配信やあらかじめ撮影した動画の配信などで動物たちの姿を伝える取り組みは各地の動物園が行っている。東京動物園協会の担当者は現状の取り組みについてこう語る。

「コロナ禍になってから対面でのイベントが本当に難しくなっています。そこで動物の姿や子どもたちの学びに必要な情報を伝えるためにオンライン配信を活用しています。試行錯誤の連続です」

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