共演者のいる映画やテレビと違って、グラビアは100%被写体中心に回る。何が食べたいか、体調は悪くないかと常にスタッフが気遣い、自由に動く彼女たちにカメラがついていった。一種のドキュメンタリーですね。毎回、35ミリフィルム200本を撮りました。
東京に帰ってくると、事務所から「レコーディングに遊びにきませんか」とよく誘われましたが、ほとんど断わりました。カメラマンはアイドルと読者の間に立たないといけない。仲良くなると、読者の気持ちがわからなくなりますからね。毎号、数千枚のハガキが読者から届きました。「そろそろ海外で撮ってくれると思ってました!」などコンセプトの“旅”に着目してくれる読者もいて、嬉しかった。
カメラマンにとって一番の先生は被写体です。8年間で撮った延べ87人には感謝してもしきれません。
取材・文/岡野誠
※週刊ポスト2021年6月18・25日号