レイデオロやソウルスターリング、そして先のダービーで5着だったサトノレイナスのように、ずっと面倒を見続けているケースもあれば、乗り替わりを経て久しぶりに跨る場合もある。
馬は鞍の座り具合や重心、手綱の力かげんなどで鞍上の違いが分かるらしい。さすがに「ルメールさんだ」とはいかないものの、「あ、最初に乗ってくれた人だ」と気づくというのだった。そこで意気に感じてがんばるのかも。案外、初々しかったデビューのころを思い出し、ふっと余計な力が抜けるのかもしれない。
【プロフィール】
須藤靖貴(すどう・やすたか)/1999年、小説新潮長編新人賞を受賞して作家デビュー。調教助手を主人公にした『リボンステークス』の他、アメリカンフットボール、相撲、マラソンなど主にスポーツ小説を中心に発表してきた。「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆。
※週刊ポスト2021年7月2日号