さらにチラシの“ミソ”は、一見すると長瀬さんだと気付きにくいことだ。写真やデザインの感じはなんとも言えない懐かしいものだが、「スーパーや洋品店のチラシといえばこんな感じ」と想像できてしまうような作りでもある。単にいつものチラシ広告の1つ、新聞の間にどっさり入ってくる折り込みチラシと思えば、見ることなく捨てたり片付けた人も多かったのではないだろうか。そういう私もあまり見ないで捨てちゃう派なのだが。
この行動は、心理学でいう「選択的注意」に当たる。選択的注意とは、多くの情報が溢れている時、その中から特定の情報を選んで注意を向けることだ。沢山の情報源をフィルターにかけ、自分に必要な情報だけを取得する。チラシ広告を特定情報と思っていなければこれを見ることはないし、見たとしても目を留めなかっただろう。
きちんとチラシをチェックした人でも、「なんだか楽しそうな雰囲気のチラシだな」でスル―したかもしれない。「このモデル、長瀬さんに似てるけどそんなはずない、こんな形で出るわけない」で終わったかもしれない。
だが、配布後すぐに話題になっているところを見ると、このチラシはそんな思い込みをひっくり返し、選択的注意を上手く利用してサプライズ的に仕立てることに成功している。誰もが見逃していただろう折り込みチラシという媒体で表舞台に現れた長瀬さん。それがかえって斬新で画期的で、色々な意味で活動の幅を広げていくだろうことを予感させる。
もしかしてもしかすると、7月24日の販売スタート当日、長瀬さんがこっそり店頭にいたりして。ファンからすると、そんな風に思ってしまうようなワクワク感もあり、見る人の期待と想像を掻き立てる。気取らず遊び心のある、長瀬さんらしい“戦略”だったのではないだろうか。