MLBオールスターゲームでも獅子奮迅、世界を熱狂させる大谷翔平の超人的プレーを支えるのは、徹底的に自己管理された食事だ。管理栄養士のサポートを受ける本人のたんぱく質へのこだわりは強く、豚ヒレ肉や鶏むね肉、鶏ささみ、魚介類など脂質が少ないものを選別している。
プロ入り後から徹底されていた大谷の食事にさらなる「改革」が行なわれたのは、悩まされた右肘のリハビリから解放された昨年11月のことだ。
「シーズン終了後すぐに個人的に血液検査を行ない、自分の体に合う食材、合わない食材を調べました」(野球専門メディア「Full-Count」MLB担当・小谷真弥氏)
この血液検査は、各自の体質や健康状態に合わせて「脂肪になりやすい食材」や「効率よくエネルギー変換できる食材」が分かる特殊なものだ。
「その結果、卵が体に合わないことが判明。それまで栄養価の高いたんぱく源として、毎朝自分で作って食べていたオムレツをやめました」(同前)
さらに大谷は「グルテンフリー」にも取り組んでいる。ゆうき内科・スポーツ内科の田中祐貴院長が解説する。
「グルテンとは小麦や大麦などに含まれるたんぱく質で、グルテンフリーとは簡単に言えば、食事で小麦や大麦を摂らないこと。テニスのノバク・ジョコビッチ選手が実践していることで有名になりました。パフォーマンスが上がるかどうかの科学的なエビデンスはまだありませんが、パンやパスタよりも米のほうが効率的に炭水化物を摂取できる。栄養知識の豊富な大谷選手であれば有効に活用できているでしょう」
大谷は2020年11月のスポーツ紙のインタビューで、オフの食事について自らこう明かしている。
「自分で3食作って食べていますよ。(メニューは)ご飯とたんぱく質ですね。お魚とか肉とか。ホタテとか魚介類もそうですし、(中略)調味料とかなるべく使ったりしないので。あとはフルーツを食べたりとか、野菜を茹でて食べたりとか」
本人は自然体だが、そのストイックさはお墨付きだ。酒は滅多に飲まず、チームメイトに誘われてもビールは最初の一杯だけ。外食はほとんどせず、たまに外に行くときも本拠地アナハイムにある和食の店で黙々と食事をするという。彼にとって食事は、強靱な肉体を作り、維持するための手段なのだろう。