9月末までに全対象者の8割に供給すると意気込む河野ワクチン担当相(時事通信フォト)

9月末までに全対象者の8割に供給すると意気込む河野ワクチン担当相(時事通信フォト)

 CDCはデルタ株について、水ぼうそう並みの感染力があり、ワクチン接種を完了していても感染する可能性があると報告。イスラエル保健省は、デルタ株の感染拡大によって、ファイザー製ワクチンの予防効果が94%から39%まで激減したことを明かした。

 イギリスBBCの名物記者であるアンドリュー・マー氏は、ファイザー製ワクチンを2回接種したのち、忙しく仕事をし続けた。すると、くしゃみやのどの痛みが出るようになり、PCR検査を受けてみると陽性だった。マー氏は、自身の感染についてこう述べている。

《別に無謀な真似はしていなかったが、それでもかなりの“無敵感”はあった。それは間違いだった》

 二木さんが指摘する。

「デルタ株にはその人の持っている免疫を“回避する力”があり、ワクチンを2回接種しても感染してしまいます。最近、南海キャンディーズのしずちゃんが2度目の感染をしましたが、これもデルタ株の仕業かもしれません。デルタ株に変異する以前のウイルスに感染してそのウイルスに対する抗体ができていたり、従来型ウイルス対応のワクチンを打っていても、デルタ株には感染するおそれがあります」

接種しても死亡率は減らない

 異様で不気味な数字も報告されている。「死亡率は、ワクチン未接種の人より、接種した人の方が高い」というデータである。ワクチン接種が進んだアメリカでは今年1月からの4か月間でおよそ1億100万人の接種が完了し、1万262人がブレークスルー感染。うち995人(10%)が入院し、160人(2%)が死亡した。

 一方で、4月1日時点の新規感染者に対する死亡率は0.94%だった。数字の上では、ワクチンを2回接種した人の方が、未接種の人より死亡率が高くなった。また7月23日にイングランド公衆衛生局が発表した調査では、2月1日から7月19日までにデルタ株に感染した約23万人をワクチンの接種回数などで分類した。するとワクチンを2回接種しながら感染した人の死亡率(0.78%)が、未接種の感染者の死亡率(0.14%)の5倍以上になった。

 ただし、これをもってブレークスルー感染は、未接種の感染者より重症化すると簡単にはいえない。

「死に近い高齢者がワクチンを2回接種した可能性があります。そのほかの要因も絡むので単純に判断はできません」(一石さん)

 むしろ強調されるのは、ワクチンの重症化予防効果だ。CDCはデルタ株においても、ワクチン未接種者はワクチン完了者よりも、重症化もしくは死亡するリスクが10倍以上高いとする。イングランドの調査でも死亡者の大半を占める高齢者層(50代以上)において、未接種の感染者の死亡率は5.6%で、2回接種した人の死亡率1.64%を大幅に上回った。

 一方で、以下の数字はとても示唆的だ。同調査では、若年者層(50才未満)の未接種の感染者の死亡率(0.028%)と、2回接種の感染者の死亡率(0.026%)が拮抗した。そこから「ワクチンを打っても若い人の死亡率は減らない」という状況が見え隠れする。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
歌手・浜崎あゆみ(47)の上海公演が開催直前で突如中止に
《緊迫する日中関係》上海の“浜崎あゆみカフェ”からポスターが撤去されていた…専門家は背景に「習近平への過剰な忖度」の可能性を指摘
NEWSポストセブン
逮捕された村上迦楼羅容疑者(時事通信フォト)
《闇バイト強盗事件・指示役の“素顔”》「不動産で儲かった」湾岸タワマンに住み、地下アイドルの推し活で浪費…“金髪巻き髪ギャル”に夢中
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《広瀬すずのぴったりレギンスも話題に》「アスレジャー」ファッション 世界的に流行でも「不適切」「不快感」とネガティブな反応をする人たちの心理
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン