ちなみに、雇用期間が1年以上であることも加入条件の1つ。長く働けそうな職場を選びたい。橘さんも、女性は人間関係の構築能力に長けているため、年を重ねてから新しい職場で働くハードルは低いはずだと背中を押す。
「ヒトは進化の過程で、男が同じ共同体で生まれ育ち、徒党を組んで敵を殲滅するよう『設計』されたのに対し、女は近親相姦を避けるため群れを出て、違う集団のなかで人間関係を築く能力を養ったと考えられています。私の周りを見ても、定年後の男性がかつての会社の人間関係に固執する一方で、女性は新しい集いに積極的に参加して友人をつくっている。
今後、日本的な終身雇用制度が崩れていくのは避けられませんが、流動的な人間関係に適応するよう進化してきた女性にとって有利な時代がやってくるのではないでしょうか」(橘さん・以下同)
実際に橘さんの知り合いには定年退職後に有志で行政のパンフレットづくりなどを始めた女性がいる。
「元編集者やライター、イラストレーターなど、一芸のある女性が集まって行政の会報を制作しているのですが、和気あいあいとしてとても楽しそうです。他人同士集まってフラットな関係性を築けるのは女性の強みで、これが男性の編集者やライターばかりなら、ヒエラルキーをつくろうとしてうまくいかないと思います」
長い老後に備えて、働いて収入を得ることと並行して取り組みたいのは資産形成だ。
「60代になってからでも資産形成は可能です。『どの株を買えばいいですか』と聞かれることが多いですが、初心者に株式投資はおすすめできません。やはり、つみたてNISAなど、長期積立分散投資をコツコツ行って資産を増やすのが効果的です。金融庁の統計によれば、60才から80才までの20年間、毎月数万円でも長期積立分散投資を続ければ、概ね年利2~3%で回せるはずです」(三原さん)
※女性セブン2021年9月2日号