国内

「無理ゲー社会」を生き抜くために…「シニア女性が働くべき」理由

(Getty Images)

60才以上の女性が積極的に働くべき理由とは(Getty Images)

「無理ゲー」とは、攻略することが極端に難しいゲームを指す言葉だ。終戦から76年、戦火の記憶は遠く、日本ではテロの恐怖に身を震わせることもない。そんな恵まれた時代なのに、なぜこんなにも生きていくことが「攻略不能」に思えてしまうのか。多くの人が生きづらさと不安を感じざるを得ない──そんな社会を作家の橘玲さんは最新刊『無理ゲー社会』で攻略困難なゲームにたとえた。

 夢や目標に押しつぶされ、先行きは不安のまま。かといって、がんばろうにも集中力も続かないしやる気も起きない──現代社会が生きづらいことは確かだが、それは決してあなたの努力が足りないからではない。いま参加させられているゲームの難易度が極端に高いだけなのだ。それに気がついただけで肩の荷が下りた人も多いだろう。

 そのうえで、この理不尽なゲームに巻き込まれ、無残につぶされないための方法を考えたい。まず必要なのは、生き抜くための“武器”を持つことだ。シニア世代にとっては、老後資金について不安を抱える人も多いが、先立つものがあれば解消できることは多いはずだ。橘さんは、特に専業主婦の場合は貧困に陥る可能性が高いことを懸念する。

「これまで日本の会社は勤務時間の長さで昇進を決めてきました。つまり、滅私奉公できる社員しか出世できない。これでは子育て中の女性はものすごく不利です。実際、日本企業では高卒の男性でも40代のうちに6割以上が課長になる一方、大卒の女性が管理職になる割合は40代半ばで2割超。しかもそれ以降はほとんど上昇しません。この『男女差別』に絶望して専業主婦になるケースも少なくないでしょうが、ここにも罠がある。

 フルタイムで定年まで働いた場合と比べて、専業主婦は生涯収入が2億円以上少ない。これが『貧困専業主婦』問題ですが、この状態で夫と離婚・死別すると母子家庭や高齢の単身女性の深刻な貧困問題につながります」(橘さん)

 こうした苦境において、重要なのは、やはりできるだけ長く働いて収入を得ることだろう。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーでエミタメ代表の三原由紀さんもこんな指摘をする。

「シニア女性からは投資でお金を増やしたいとの相談が最も多く寄せられますが、お金を貯める王道は働くことです。特に推奨したいのは、厚生年金に加入しながら働く方法です。専業主婦歴が長いなどで厚生年金の加入期間が60才時で30年未満の人なら、60才以降に厚生年金に加入して働くと年金の経過的加算部分が年間2万円ほど増えます。

 基本的に週20時間以上の労働時間で勤務先の社員が501人以上であることなどの条件を満たせば加入できる。たとえばイオンなど大きなスーパーで週3日、7時間のパートをするなどの条件でも加入することが可能です」

関連記事

トピックス

過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン