日本の新型コロナ感染症の流行は第5波が収束しつつある状況だが、政府分科会の尾身茂会長は9月16日の参院厚生労働委員会で、第6波がやってくる可能性について、「感染対策を続けないと、冬はそもそも感染が拡大しやすい時期なので、可能性はある」と発言している。
一方で、1年半にも及ぶ自粛要請に国民も疲れ果て、我慢の限度を超えつつあり、緊急事態宣言に対しても緊張感が失われている。第6波がもし来るとしたら、従来とは異なる対策が必要なのではないか。
そんななかで、元京大病院の医師で、みやざわクリニック(眼科、気管支・アレルギー科:兵庫県宝塚市)の宮澤大輔医師は、コロナ対策として殺菌灯(紫外線照射)による室内のウイルスの失活(死滅)をツイッターで提言し、注目を集めている。
「私のクリニックでは、1年ほど前から殺菌灯を設置しています。新型コロナに関してはオンライン相談のみの対応ですが、クリニックで通常診療を続けるなかで、殺菌灯による有害事象が発生したことは今まで一度もありません」(宮澤医師、以下同)
殺菌灯に使われる紫外線(UV)は波長が10〜400nm(ナノメートル)の電磁波で、太陽から放射されて日焼けの原因になるものである。日常的には紫外線照射を使った日焼けマシンがよく知られているが、一方、紫外線には細菌類を死滅させる効果があり、殺菌灯は食品工場や医療機関などで使われている。
紫外線(UV)が新型コロナウイルスを不活性化するとの研究結果は、日本をはじめ世界各国で報告されている。たとえば、昨年9月に藤田医科大学の村田貴之教授(ウイルス・寄生虫学)らの研究グループは、「殺菌灯で紫外線を距離40cmで10秒照射すると、99.99%のウイルスが失活した」という研究結果を発表している。同12月には、ボストン大学医学部の研究グループが「紫外線が新型コロナウイルスを迅速に不活化する」との論文を英科学誌『ネイチャー』のサイエンティフィック・リポートで発表した。