実は殺菌灯には半世紀以上の長い歴史がある。日本で結核が蔓延していた戦後まもない頃は、病院では結核菌を死滅させるため殺菌灯を灯すのが一般的だった。廃病院を模したお化け屋敷などで、青く光る照明が使われていたりするが、あれは殺菌灯のイメージだ。結核が激減して現在は使われなくなったが、宮澤医師の取り組みは、これを新型コロナ対策として復活させようとするものだ。

 効果がありそうなのに、今までほとんど普及しなかったのは、やはり紫外線による健康被害が心配されたからと考えられる。今年1月に、飲食店が座席の足元に殺菌灯を設置し、その紫外線を直接浴びて食事をしていた女性が足にやけどを負う事故が発生している。近距離から人体に直接照射される位置に設置するような間違った使い方をすると、こうした事故が起きるから注意が必要だ。

「UVCは、透明なガラスやアクリルの板で99%以上遮へいできるので、人がいる場所だけ遮へいすることもできます。また、ファンを使って筒状の空洞内に室内の空気を送って、内部で紫外線を照射し、外へ紫外線が漏れないようにした『空気循環式紫外線清浄機』という製品もあります。つまり、ウイルスを含むマイクロ微粒子を送り込んで、紫外線でウイルスを失活させて空気を循環させるというしくみです。

 蛍光管の殺菌灯を設置する際は、人が浴びても大丈夫な許容量がJIS規格の基準で示されているので、それを厳格に守る必要があります。コロナ対応で検討されている“野戦病院”や、発熱外来の待合室など、ウイルスが多そうなところで設置するのが望ましいですが、飲食店や一般家庭などでは、やけど事故の危険があるので、そうした安全基準を熟知した専門業者に施工を依頼すべきです」

 安全性の面から言えば一般家庭などでは「空気循環式紫外線清浄機」を設置するのがベストで、安いからといって素人が蛍光管式のタイプを自分で設置するのはやめるべきだという。

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