コロナ禍による受診控え・検診控えの影響でステージが進行してから見つかるケースが増えた大腸がんはどうか。
別掲表では、大腸がんステージ1の「手術なし」の生存率が年齢で大きく異なる。年齢が上がるほど、生存率低下が顕著だ。
「初期の大腸がんで抗がん剤を選択することもありますが、若ければ抗がん剤による臓器へのダメージが少なく、高齢者ほどダメージが大きい。それが年代ごとの『手術なし』の生存率の違いに影響したかもしれません」(一石医師)
さらに術後のQOL(生活の質)が問題だ。
「大腸(直腸)がんの手術を受けると、一時的または永久的な人工肛門になることがあります。高齢の患者さんほど人工肛門の管理は難しく、病期や年齢で根治が難しければ、身体へのストレスや負担が大きい手術やそれに伴う人工肛門は避け、他の治療を検討してもいいでしょう」(一石医師)
※週刊ポスト2021年10月29日号