コロナうつに冬季うつ、産後うつなど、もはや現代病といっても差し支えないほど、誰もがうつに悩む可能性があるこの時代。原因の多くは“幸せホルモン”ともいわれるセロトニンの減少にあるようだ。最新の研究に基づくと、セロトニンを増やすために何より重要なのは「食」だという。
専門家たちがこぞってすすめるのは、温かいスープによってセロトニンを分泌させること。内科医の工藤孝文さんもその1人だ。
「具材を煮て作るスープは油が少なく、胃に負担がかからないうえに体を奥から温めるため自律神経を整えて、セロトニンの分泌を活性化させてくれる。低カロリーなのに複数の食材を一度に摂ることができるのも利点です」
工藤さんが普段から飲んでいるスープは2種類ある。
「卵としょうがの和風コーンクリームスープ」と「ラム肉と大豆のトマトスープ」だ。
「『卵としょうがの和風コーンクリームスープ』の決め手はトリプトファンを多く含有するみそと卵です。加えてとうもろこしには、トリプトファンの吸収を助けるビタミンB6がふんだんに含まれています」(工藤さん)
このスープのポイントは、セロトニンの分泌はもちろん、腸内環境の改善も期待できるところにある。セロトニンを多く分泌させるには、その材料となる栄養素を摂ることが欠かせない。主な栄養素は、必須アミノ酸のトリプトファンで、この成分は体内では生成することができないため、食べ物から摂取する必要がある。
「腸内環境が悪化するとうつ病リスクが上がりますが、発酵食品であるみそは善玉菌を増やし、腸内環境を整えてくれる。ぜひ食卓に取り入れてほしい一杯です」(工藤さん)
「ラム肉と大豆のトマトスープ」はダイエット効果も期待できる一品だ。
「“畑の肉”と呼ばれる大豆には、トリプトファンがたっぷり含まれているうえ、トマトが含有するGABAという成分はストレスを緩和する役割があります。これらとともに良質なたんぱく質のラム肉を食べれば、大きな抗うつ効果があることは間違いない。ラム肉の栄養素・L-カルニチンには脂肪の燃焼を助けてくれる力もあるため、ダイエット中の人でもお腹いっぱい食べられます」(工藤さん)