II度の深熱傷は真皮に及ぶ熱傷で、水ぶくれをつくる。浴槽で亡くなると、この女性のように入浴からわずか20分で全身に熱傷が及んでしまう。深い傷は遺された同居人に及ぶ。
「高齢の夫婦で、旦那さんがなかなかお風呂から出てこないので奥さんが様子を見に行ったら、溺死していたというケースがありました。旦那さんは体が少し不自由だったので、奥さんは『私が夫をお風呂に入れてあげるか、早く様子を見に行っていれば』と自分を責めていました」(小島氏)
さらには“事後処理”の面でも遺族に大きな負担をかけることになる。特殊清掃会社のスタッフが言う。
「浴槽内の清掃はご遺体の腐敗が酷いと、配管内まで特殊な薬剤を使って清掃しないといけなくなるため、値段も10万円を超えることはザラです。また、せっかく清掃しても『気味が悪いから』と浴槽だけでなく浴室そのものを全部作り変える人も多く、その場合は50万円以上になることもあります」
※週刊ポスト2021年12月17日号