かつてはプロ野球のシーズンオフとなると、プロ野球に関する多くの特別番組が放送されていた。現在はプロ野球中継の視聴率低迷とともにその数は激減しているが、フジテレビの『プロ野球珍プレー好プレー』は放送を続けている。その理由とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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12日20時から『中居正広のプロ野球珍プレー好プレー大賞2021』(フジテレビ系)が放送されます。今年は東京オリンピックで日本代表チームが金メダルを獲得したほか、大谷翔平選手がメジャーリーグで大活躍し、先日の日本シリーズも大熱戦。さらに今回は、すっかり話題の人となった「BIG BOSS」こと新庄剛志監督がゲスト出演することもあって、例年以上の盛り上がりが期待されています。
『プロ野球珍プレー好プレー』と言えば、1980年代から続くシーズンオフの恒例番組。しかし、かつてプロ野球のシーズンオフには、この番組だけではなく、多くの関連バラエティが放送されていました。
主なものを挙げると、『プロ野球12球団インドア競技大会』(読売テレビ系・日本テレビ系)、『プロ野球オールスター大運動会』(テレビ東京系)、『プロ野球12球団対抗ゴルフ』(フジテレビ系)、『プロ野球12球団対抗新春リレーマラソン』(東海テレビ・フジテレビ系)、『プロ野球12球団スーパーバトル』(東海テレビ・フジテレビ系)、『オールスタープロ野球12球団対抗歌合戦』(フジテレビ系)、『大相撲対プロ野球 オールスター対抗歌合戦』(フジテレビ系)など多種多様。さらにレジェンドが集う『名球会』関連も併せると10以上の番組が地上波で放送されていたころもありましたが、21世紀に入ったころから減りはじめ、現在ではごくわずかになりました。
プロ野球中継が無料の地上波ではなくCSや配信での有料コンテンツとして定着し、スポーツニュースでの扱いすら少なくなってひさしい中、なぜ『プロ野球珍プレー好プレー』だけは、いまだに日曜のゴールデンタイムという最も目立つ時間帯で放送されているのでしょうか。
かつて日テレも『珍好プレー』を放送
前提として挙げておかなければいけないのは、フジテレビが1980年代からプロ野球というコンテンツに積極的だったこと。すべての試合内容を紹介する『プロ野球ニュース』を連日放送し、シーズンオフでも前述したように断トツで多くの番組を放送していました。
そんな歴史がある上に、『プロ野球ニュース』は地上波放送を終了した2001年以降も打ち切らず、CSで続行。しかも名物企画「今日のホームラン」で当時のBGMを流すなど、長年のファンを大切にする姿勢を打ち出しています。
つまり、フジテレビは常にプロ野球関連番組の“現役制作局”であり続けているため、ノウハウが受け継がれ、映像の質を保つことが可能。プロ野球ファンの支持を得続けているため、時代の変わった今でもゴールデンタイムで『プロ野球珍プレー好プレー大賞』を放送できるのでしょう。