そもそも『プロ野球珍プレー好プレー大賞』は、『プロ野球ニュース』内のコーナーを特番化したものでした。みのもんたさんが確立した「ナレーションで笑いを誘う」という演出は現在のバラエティでも通用していますし、「『プロ野球ニュース』が続いていて映像もあるのだから、『プロ野球珍プレー好プレー大賞』が放送されるのは普通のこと」という見方もできます。
実は日本テレビも『プロ野球珍プレー好プレー』という番組を1980年代から何度かリニューアルしながら放送していましたが、2000年代前半で撤退。現在はBS日テレで『プロ野球SP厳選!好珍プレー一挙公開!!』の放送に留まっています。この事実からも、地上波の日曜ゴールデンタイムで放送しているフジテレビ版の特別感がわかるのではないでしょうか。
大きかった中居、ザキヤマの就任
フジテレビの『プロ野球珍プレー好プレー大賞』も、ずっと順風満帆だったわけではなく、「2005年で一度終了し、2010年に12月末放送の特番として復活した」という過去があります。
復活の際、MCに中居正広さん、ナレーションに山崎弘也さんが就任。まさに適材適所と言えるキャスティングによって、「中居さんがスタジオトークで、山崎さんがVTRで笑いを誘う」という形ができ、番組に活気が生まれたことが現在まで続いている理由の1つでしょう。
2015年からは土日のゴールデンタイム特番に昇格。コアなプロ野球ファンはもちろんライトなファン層を取り込もうと、毎年さまざまな趣向を凝らしています。
最後にもう1つあげておきたいのは、フジテレビに「昭和の古き良き番組を残そう」というムードがあること。『クイズ・ドレミファドン!』『THE MANZAI』『なるほど!ザ・ワールド』『ドリフ大爆笑』などの名番組は、時代の流れに合わせて若年層も楽しめるように工夫されつつ、現在も放送されています。
なかでも『プロ野球珍プレー好プレー大賞』は、「これを見たら今年もあとわずか」という実感が湧く貴重な特番の1つ。今年は中居さんや新庄BIG BOSSの笑顔を見ながら、年末恒例の番組を楽しめる幸せを感じてみてはいかがでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。