次いで、処方される機会が多いのが、ホルモン剤の副腎皮質ステロイドで、グルココルチコイドはその一種である。免疫抑制効果があり、関節リウマチや膠原病、悪性リンパ腫などの悪性腫瘍治療で幅広く使われている。
「医師の間でもステロイド剤による血圧上昇は広く知られていますが、病気を治療する上ではこの薬剤が必要不可欠なことが少なくない。そのため、高血圧治療を受けている患者さんが併用する場合、医師は血圧上昇のリスクを患者さんに説明したうえで治療を進めます。疑問があれば医師に相談したほうがいいでしょう」(谷本医師)
日常的に使用する薬にもステロイド剤は使われていて、知らず知らずのうちに副作用を受けているケースもあるという。「花粉症などアレルギー症状の治療では、リンデロンなどのステロイド剤の点眼薬や点耳薬、点鼻薬が使われるケースがあります。これら局所的に使うステロイド剤の場合、副作用は弱いので、急激に血圧が上がるようなことは滅多にありませんが、患者さんの体質によっては高血圧が問題になるケースもあるでしょう」(同前)
うつや不眠症治療に使われる精神神経用剤、催眠鎮痛剤、抗不安剤などでも、よく処方される薬に血圧上昇の副作用が報告されている。
「これらの薬剤は短時間作用型で、一時的に服用する場合は、血圧上昇はあまり問題になりません。しかし、漫然と長期処方され頻回に飲み続けるというケースでは、慢性的な血圧上昇につながりかねないため注意が必要です。特に高齢者の場合、薬剤の代謝機能が衰えているため、副作用が強く出やすい」(同前)
※週刊ポスト2022年1月28日号