「2回目よりもさらに強い倦怠感と腕の痛みが……」「高熱が出て3日間寝込んでしまった」。これらは新型コロナウイルスのワクチン3回目接種を受けた人たちの声だ。こうした副反応が数日で終わればまだいいが、1回目、2回目の接種の後、さまざまな症状に見舞われ、人知れず長期にわたって苦しんでいる人たちもいる──。
医療従事者を皮切りに新型コロナワクチンの3回目接種が始まり、高齢者を対象とした接種も前倒しが決まった。そんな中、オミクロン株の市中感染が明らかとなり、本格的な第6波が到来している。
オミクロン株は感染力が強い一方で、従来株と比べ重症化リスクは低いとされているが、WHOは「『軽度』に分類すべきではない」と警鐘を鳴らしており、テレビも連日その脅威を報道し続けている。こうした状況を見て、「早く3回目の接種を受けたい」と焦る人も多いだろう。だが、ワクチンにはメリットだけでなくリスクもある。それを知ったうえで、あわてて接種するのではなく、冷静に判断してほしいのだ。
振り返れば、1回目のワクチン接種が開始されたのは2021年2月半ばのこと。医療従事者から始まり、4月には高齢者、5月には基礎疾患を持つ人など、重症化しやすい人から優先的に接種が進んだ。1回目を接種した人は3週間後に2回目の接種が自動的に予約される形になっており、2022年1月13日の時点で、2回分の接種を済ませた人は国民の79%に及んでいる。
その多くが、発熱や頭痛、倦怠感など、数日以内に終わる副反応を経験したはずだ。ただ、テレビや新聞などのメディアではほとんど報道されていないが、問題はこうした短期的な副反応だけではない。実は1回目、2回目の接種後に異常な症状に襲われ、数か月経った現在も、苦しみ続けている人たちがいる。
その症状は、一部で「新型コロナワクチン後遺症(以下、ワクチン後遺症)」と呼ばれている。どのくらいの頻度でどんな人に起こるのか、正確なデータは、いまのところない。だが、ツイッターをはじめとするSNSでは多くの人が症状を訴えている。
50m走を全力疾走した後みたいにハアハアと息が切れる
2021年10月に1回目の接種を受けた中部地方在住の女性Aさん(50代)もその1人だ。
「接種当日と翌日は症状がありませんでしたが、3日目に胃酸の逆流が始まり、下腹部にも違和感が出て、婦人科を受診したんです。そうしたら、『血尿が出ている』と言われ、抗生物質を処方されました。ところが、それをのんだとたんに胸が苦しくなって、救急車で病院に運ばれたんです。抗生物質をのんで、こんなひどいことになったのは初めてでした」(Aさん・以下同)
その2日後、病院で徹底的に検査してもらったが、異常なし。それからしばらくは、仕事にも外食にも出かけられていた。ところが、接種後1か月経った頃から、体調がどんどん悪化していった。
「息が苦しくなってきたんです。呼吸がうまくできなくなって、もう一度、救急搬送されました。まるで、50m走を全力疾走した後みたいに、ハアハアと息が切れるんです。動悸もひどくて、コーヒーや緑茶を飲むと、心臓がバクバクしてしまう。そのために、水しか飲めなくなってしまいました」