「妻は勤務している病院で3回目接種をしました。副反応は1、2回目と同じく、37℃の熱が出たくらいでした。3回目接種との関係は少しだけ疑いました。ただ死後、妻に脳動脈瘤があったことが判明し、医師からは脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と診断されました。ということは、いつか破裂する可能性がもともとあったということですよね……。仕事もハードでしたし、それも原因の1つだったのかなと思っています」
昨年3月、ワクチン接種直後に亡くなったと初めて報告されたのは60代女性だった。死因はAさんと同じくくも膜下出血。厚労省によると、1月2日までにワクチン接種後(1、2回目接種)に亡くなった原因として可能性のあるすべての症例1656件のうち、くも膜下出血で亡くなったケースは43件あったという。
2人目の死亡者は、昨年12月20日に3回目接種でモデルナを打ち、8日後に亡くなった70才男性だ。
予診票での留意点はなく、既往歴や内服薬もなかった。朝、起きてこないことから自室を家族が訪ねると、鍵がかかっていて反応がないため救急要請し、ベッドで心肺停止状態で発見された。死亡時の画像診断では死因につながる異常は見られなかったというが、詳細は不明だ。
男性には既往歴がなかったため、専門家部会ではある委員からこんな質問が出た。
「このかたはほとんど基礎疾患がないが、今後死因等に関する情報は出てくるのか」
これに対して厚労省の担当者は「追加情報を収集して、改めて本部会で示したい」と述べるにとどまった。
さらに別の委員がこんな質問をぶつけた。
「3回目接種で、死亡例や大きな副反応が出ている。そういったかたは1回目や2回目に重篤な反応がなくても、(3回目に重篤な)反応が出ることはあるのか」
そこでも厚労省の担当者はこう答えるのみだった。
「過去のものまでは集計していない。今回はあくまでも3回目の分の報告です」
1、2回目接種で副反応を経験した人、もしくは経験していない人が、3回目で重篤な副反応に見舞われるのか、というのは国民が3回目接種を決断したり、接種後の体調を見守ったりする上で、非常に重要な情報だろう。3回目接種後の副反応に対する厚労省の危機意識のなさがうかがわれた。
※女性セブン2022年2月17・24日号