照明にきらめくと言えば、ほとばしる汗だけではない。スーツやタキシード姿でバラードを歌い上げるときには、摩天楼を思い起こさせるセットのきらめきも魅力的だった。小説家の小路幸也さんが振り返る。
「西城秀樹にはロック志向のバラード曲やドラマチックな方向性の曲も多く、ハスキーで奥深い歌声によく合う。あの声に歌唱力、表現力が備わった上に、あの顔立ち……。女性にはたまらないでしょうね」
情熱系パフォーマンスと違い、アクションの大きな振り付けはないが、カメラの動きに合わせてピタリとポーズを決め、目線を合わせる。1983年から35年にわたって西城さんのマネジャーを務めた片方秀幸さんはこう言う。
「一度限りのカメラリハーサルで、激しく動くカメラの動きとスイッチング(どのカメラで撮っているか)を覚え、本番では振り向いた先にカメラがいて、目線がバチッと合う。そこには何の躊躇も、ブレもありません。テレビを見ている人は、自分と目が合ったと感じていたと思いますよ」
【プロフィール】
プロデューサー・塚田伸夫さん/ジョワブレーン代表。デビュー当初の西城さんの衣装デザインを手掛ける。西城さんが、当時のヘアスタイルを見て“ジョワジョワだからジョワさんだ”と愛称をつけた。これが現在の会社名になっている。
小説家・小路幸也さん/学生時代に仲間とバンドを組んでミュージシャンを目指すが、広告制作会社勤務を経て小説家に。著書に『東京バンドワゴン』シリーズ(集英社)などがある。最新刊は『花咲小路二丁目の寫眞館』(ポプラ社)。
プロデューサー・片方秀幸さん/西城さんの個人事務所「アースコーポレーション」発足当時からマネジャーを務める。3月25日に西城秀樹 デビュー50周年記念7枚組DVD BOX『THE 50 HIDEKI SAIJO song of memories』を発売。
取材・文/山下和恵 イラスト/諏岸 撮影/浅野剛 写真/女性セブン写真部
※女性セブン2022年2月17・24日号