『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)は、1968年11月から1990年10月まで22年にわたり放送された生放送の歌番組だ。毎回豪華な歌手が登場し、趣向を凝らしたパフォーマンスを披露する。
西城秀樹さん(享年63)の3回忌を迎えた2020年5月には、『夜ヒット』の出演シーンなどをまとめたDVD『西城秀樹 IN 夜のヒットスタジオ』(ソニー・ミュージックダイレクト)が発売されている。これには、1975年5月から1987年12月の計172回の中から120の出演シーンが収録されている。関係者が西城さんと番組の魅力を回顧する──。
『夜ヒット』では、大量のドライアイスが使われることも多かった。1983年から35年にわたって西城さんのマネジャーを務めた片方秀幸さんはこう言う。
「歌い終わると、床はもう水浸し。CMの間にスタッフ総出で床を拭きまくって、何事もなかったように次のセットが組まれていくのが魔法のようでした」
大量のすすき、巨大なフェニックス、電飾によるトンネルのセットなどなど、曲に合わせてさまざまなセットが用意された。
『炎』では、ろうそくに囲まれることもあれば(1978年5月8日)、氷のセットを抱いて歌うこともあった(同年6月5日)。ちなみに、氷の彫刻を作ったのは「赤坂プリンスホテル」のシェフ。曲の合間に外部協力者をきちんと紹介するのも『夜ヒット』の“お約束”だった。
1980年代後半になると、新しい技術がどんどん開発され、最先端の演出が見られるようになった。1985年3月から茨城県つくば市(当時は筑波郡)で開催された「国際科学技術博覧会(通称・つくば科学万博)」の開会式のテーマソング『一万光年の愛』(1985年2月4日)では、指先から青いレーザー光線が放たれ、未来感あふれる演出がなされた。