1985年になると、月曜日の22時から、水曜日の21時に引っ越し、2時間番組の『夜のヒットスタジオDELUXE』としてリニューアル。7月10日放送回の『リアル・タイム』では、特殊メイクで80代の老人に扮して歌唱。白髪で真っ赤なジャケットを着て歌う姿は、「もしもこの先50年ほども生きていれば……」と思わせる、西城さんの幻の姿だと、ファンの間で語り継がれている。エンディングでは多羅尾伴内のように(たとえが古い!?)、特殊メイクをバリバリとはがし、いつものカッコいい西城さんに戻って番組終了。持ち歌を歌うだけでなく、さまざまな企画ものが生まれ、歌手としての実力を発揮する場として、『夜ヒット』は貴重な場所であり続けた。
「とにかくヒデキには、青い空と海がよく似合う。ヒデキ自身が海外にダイビングに行って撮影してきた画像を演出に使ったことがある」と語るのは、1986年から『夜のヒットスタジオDELUXE』 のメイン構成作家となった木崎徹さんだ。
「毎回10組近くのゲストに取材してトークネタを考え、美術セットのアイディアも書かなくてはいけない。当時の司会は、私と中学から大学までクラブもクラスも一緒で、気心が知れた古舘伊知郎。寝る間もないほど忙しかったけど、とても楽しかった。
ヒデキとはその数年前に知り合い、一緒に遊んでいた仲間。ダイビングを始めたいという彼の運転で、お互いに過密なスケジュールをなんとか調整して時間を作って潜りに行き、ライセンス取得のサポートをしていました。そんな彼のイメージにぴったりの映像を持ち込んでくれるというなら、使わない選択肢はない。鮮やかなブルーの海の中で歌うヒデキは、いつにもまして爽やかで、セクシーでした」(木崎徹さん)
【プロフィール】
プロデューサー・片方秀幸さん/西城さんの個人事務所「アースコーポレーション」発足当時からマネジャーを務める。3月25日に西城秀樹 デビュー50周年記念7枚組DVD BOX『THE 50 HIDEKI SAIJO song of memories』を発売。
放送作家・木崎徹さん/1986年から『夜ヒット』の構成作家となり、1990年の番組終了まで担当。その後、各局の音楽番組を担当し、現在はFM大阪でZACKY&YU『あわじ感動!音楽島』の構成、プロデュース、DJを担当している。
取材・文/山下和恵 イラスト/諏岸 撮影/浅野剛 写真/女性セブン写真部
※女性セブン2022年2月17・24日号