東京五輪では、ベンチで手書きのメモを真剣に読み込んでいた甲斐拓也(代表撮影JMPA+藤岡雅樹)

東京五輪では、ベンチで手書きのメモを真剣に読み込んでいた甲斐拓也(代表撮影JMPA+藤岡雅樹)

“重労働”に見合う評価へ

 今年の年俸を守備位置で比較すれば分かる通り、捕手はなかなか年俸がアップしにくいポジションと言える。

「巨人の小林誠司は2016年からの3年間、100試合以上に出場してレギュラーでした。その1年目のオフには2600万円から5000万円に上がりましたが、その後は400万アップ、600万アップと額は抑えられた印象です。その間、優勝できなかったことも1つの要因でしょうが、3年間とも打率が2割強という点が大きかったと思います。

 実際、同じ巨人の阿部慎之助は優勝できなかった年でもアップしています。4月に月間16本塁打放った2004年オフに4500万円アップ、44本塁打を打った2010年に5000万円アップしています。しかし、ホームランがガクンと減った2006年はオフの契約更改で現状維持、2014年は優勝したものの、打撃3部門で大幅に数字を落としたためか、9000万円ダウンでした。もちろん、阿部は最高6億円をもらっていたため、簡単には比較できない面もありますが」

 小林は4年ぶりに2桁出場に終わった2019年オフに1億円で4年契約を結んだ。球団は小林を評価していたと思われるが、翌年にFAを取得しそうだったという事情も絡んでいそうだ。

「守備の評価だけで2億円プレイヤーになれる捕手はなかなか現れない。西武の森の例を見ても、やはり打撃が評価されているのは間違いない。その意味では、打率2割2分7厘の甲斐に2億1000万円払うソフトバンクの査定は画期的です。守備面やリード面、さらには対戦相手の研究など、数字に表れない捕手の役割が評価されるようになったということです」

“重労働”に見合う評価がなされるようになれば、キャッチャーを目指す選手たちも増えるかもしれない。

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