豪快なスパイクが持ち味

豪快なスパイクが持ち味(時事通信フォト)

「手術前のような体の痛みや痺れはなかったんですけど、プレーの感覚が全く戻らなくて、それに苦しんだんですよね。スパイクを打ってもなんだか前と違う。思うようにボールに体重が乗らないんです。原因は自分でもわからないのですが、スパイクの助走に入るタイミングとかもわからなくなってきて、結果的に練習量が増え、再び腰に痛みが出るようになってしまった。

 病院で診てもらったら『それは炎症だから、ちょっと休めば引くよ』って先生には言われたんですけど、腰に痛みが出てしまったのが自分にとって大きなショックだったんです。また休んでリハビリをするってことを考えたときに、もう頑張れないと思いました。

 とにかく手術後は、ここから第二の人生が始まるんだって、ハイテンションになっていたんです。それが良くなかったですね。逆に心がぽきって折れてしまった」

 26歳になった直後に引退を決意した際の気持ちについてこう話す。

「本当にひっそりとフェードアウトするように引退しました。不安よりもほっとした。そういう気持ちが大きかったですね」

 現在はキッズコーディネーショントレーナーという、子供の発達・発育や心理を理解した上で運動についてコーチする指導者の資格を取得し、全国で講演活動やバレーボール教室での指導にあたっている。

「これが天職だって思っています。腰を痛めた経験があるからこそ、『痛かったら痛いっていうんだよ』って常々子供たちに言っています。ややもすると『頑張れ頑張れ』って指導になりがちだけど、頑張りすぎは逆に選手生命を短くすることに繋がることもある。そういうことを常に伝えています」

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