国内

困窮した女性に「マスク着用」で動画出演要請 取り返しがつかなくなる事例も

誰もがいつでも、どこでもマスク着用が当たり前になったことを悪用(イメージ、EPA=時事)

誰もがいつでも、どこでもマスク着用が当たり前になったことを悪用(イメージ、EPA=時事)

 かつて常にマスクをしている人というと、花粉症の人や風邪を引いているひとをのぞけば、見つかりたくない有名人、暴れるときの不良、振り込め詐欺の受け子や出し子など顔を覚えられたくない、見られたくない人というのが相場だった。ところが2020年以降は、新型コロナウイルスの感染拡大によって呼びかけられた新しい生活様式が広まったことで、真夏でもマスク姿が奇異なものではなくなった。その新標準を悪用して経済的に困窮する女性に、違法動画出演の勧誘をする人たちが存在する。ライターの森鷹久氏が、マスク着用動画出演で苦しめられる女性についてレポートする。

 * * *
「コロナ禍」と言われ続けて、早2年が経過しようとしている。これまでの日常は大きく変わり、外出の際のマスク着用もほとんどの人が「常識」と捉え、マスクをすることに、他人がマスクを着用していることに違和感を持つことは無くなった。しかし、この「マスク」が思わぬところに負の影響を及ぼしているという。

「マスクのおかげで、出演へのハードルはグンと下がっているようです。それだけで済むならいいが、深刻な人権侵害も起きている」

 成人向けビデオ制作会社幹部・吉岡大輔さん(仮名・40代)が「人権侵害」が起きていると指摘するのは、ウェブ上の成人向けサイトで閲覧が可能な映像制作で発生しているトラブルについてだ。

「マスクをしていれば誰かわからない、そんな制作者の誘惑に乗せられ、出演する女性がコロナ禍以降、本当に増えているんです。実際、マスクをしっかり着用していれば、親やかなり親しい友人でなければ出演していることは気づかれにくい。だからか、マスク系の映像は今なお数多く供給されている」(吉岡さん)

 吉岡さんが「マスク系の映像」と言っているのは、最初から最後まで、どんな服装になろうともマスクを着用したままの映像作品のことだ。かつてなら、そんな不自然なものは受け入れられなかったかもしれないが、コロナ対策で常にマスク着用となったいま、道行く女性に声をかけるときはもちろん、部屋で話をするときにマスクをしたままでも受け入れられるようになった。かえって、作り物ではない感じがすると受け取れられている面もあるのかもしれない。

 これらの映像のほとんどは、海外にサーバーを置く日本人向けの映像サイト上で販売されているが、その多くは、吉岡さんのようなプロによって作られたものではない。ほとんどは、素人同然の人物が家庭用ビデオカメラやスマートフォンなどを用いて撮影したもので、サイトを通じて制作者からユーザーに販売されている。そして、この数年、こうした映像の中に法に触れるものがあったとして、制作者や出演者が逮捕される事例も相次いでいる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン