2022年1月に行われた大学入学共通テストで、試験時間中にインターネットを通じて世界史Bの問題が流出した。家庭教師紹介サービスを悪用し、高2女子を名乗って「家庭教師としての実力を試す」という名目で都内の東大生等に解答させていたのだ。なぜこのようなネットを使った不正行為が続くのか。若者のネット利用における事件とトラブル実態に詳しい成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さんに聞いた。
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利用されたのは、ある家庭教師紹介サービスだ。サービスに登録すると、家庭教師として登録している大学生等にメッセージが送れる。やり取りの後、合意すれば、オンラインで教わることができる仕組みだ。
東大生等は女子高生を名乗る人物から、「家庭教師としての実力を試したいから、試しに解いてほしい」などと、あらかじめ時間指定をして依頼を受けていた。大学入学共通テストの初日である1月15日の試験時間中に、世界史Bの問題用紙が写った画像が通話アプリSkype経由で送られ、東大生等は共通テストと知らずに解答を送り返していた。
サービスでは、生徒側は名前や電話番号、クレジットカード番号等は入力するが、本人確認は行っていなかった。しかし、クレジットカード番号ややり取りに使ったSkypeなどをたどれば特定は可能だ。
2月には、香川県警に出頭した受験生の女子大生(19)と、画像を送る中継役をしたシステムエンジニアの20代男性が、偽計業務妨害罪で書類送検されている。男性は女子大生から受け取った動画を静止画にして東大生等に送信していた。
試験中のスマホ利用は厳しく禁止されている
女子大生は、他の大学に入り直そうとしたが成績が伸び悩み、このような行為に手を出してしまった。上着の袖に隠したスマホで試験問題を動画撮影、送信したという。このニュースを聞いたある受験生は、驚きを隠さない。
「成績が上がらなくて不安でいっぱいになる気持ちはわかる。でも、不正行為をしたら失格になるし、これまでの努力が無駄になる。試験会場ではスマホの電源を切るように強く言われていたし、そんなことができるとはちょっと考えられない」。