毎年夏に行われる高校3年生対象の全国卒業試験でカンニングが横行していたため政府が対策に本腰を入れている。学生は試験会場に入る前にボディチェックを受け、筆記用具以外の物品の持ち込みは禁止(EPA=時事)

毎年夏に行われる高校3年生対象の全国卒業試験でカンニングが横行していたため政府が対策に本腰を入れている。学生は試験会場に入る前にボディチェックを受け、筆記用具以外の物品の持ち込みは禁止。写真は2019年(EPA=時事)

 試験を受けている様子をカメラで確認できるようにし、さらにそのときの目線や手の動きも分かりやすいように、Zoomで表示される画面が小さくなりすぎないよう人数を絞って参加させる。ライブで気づけなくとも、後日、録画したその映像を確認することで不審な行動があれば指摘できるというわけだ。ここまで悪意を前提にした対策を立てねばならないのかと驚くかもしれないが、悩まされているのは試験だけではない。

 大学では以前から、論文の盗用やレポートのコピペ問題、ネット上にある百科事典や誰かのテキストをコピー&ペーストして完成させる盗用や剽窃も問題視されている。オンライン授業の場合、成績評定にはレポートなどが重視されることが多いが、それもコピペで済まされていることがあり、不正防止は大きな課題となっているのだ。都内の私立大学で教えている教員は、その仕事がかなり他の業務を圧迫している事情を打ち明ける。

「このレポートはコピペだなというのは、読めば分かります。たいてい、途中で文体が変わるなど全体的に不自然に仕上がっていますし、もっと雑なときは、途中でフォントが変わっていることもあります。先輩から譲り受けたファイルのプロパティに別人の名前が残っているなんてこともありました。そういう学生には、いきなり失格の連絡をするのではなく、自力でレポートを書き直すようにまず連絡しますが、それでも自分が書いたのだと頑張られてしまう場合は、誰が見ても分かる証拠をつけて示さないとならない。数が少なければ自分でやりますが、数十人を期日内にとなると一人でさばききれません」

 そこで、コピペを判定するソフトやサービスが利用されている。たとえばあるレポートなどの盗用を判定するソフトは、2018年7月末までに881機関(教育機関では610機関)でレポートや論文のコピペチェックに活用されているという。

 学生によっては、悪気なくコピペをしてしまっているケースもある。引用ルールの徹底により悪意のない剽窃を防ぐとともに、コピペは不正ということを徹底して周知する必要があるのだ。

「卒論代行10万円前後」で請け負う若者たち

 このようなネットを使った不正が若者の間で広がっている理由は、彼らがスマホネイティブであり、「調べれば何でもわかる」「ネット上ですべて済む」環境で育ってきた影響が大きいのではないだろうか。引用とは何かを知る前に、スクショやコピペで他人の著作を自分のものであるかのようにSNSで簡単に発信でき、それを咎められるよりも、友人たちから賞賛されることを繰り返し経験すると、不正についての認識が歪みやすいだろうし、自分で一から考えて生み出すのはコスパが悪いと敬遠しがちになるだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年、第27回参議委員議員選挙で使用した日本維新の会のポスター(時事通信フォト)
《本当に許せません》維新議員の”国保逃れ”疑惑で「日本維新の会」に広がる怒りの声「身を切る改革って自分たちの身じゃなかったってこと」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン