体験取材を得意とする女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子が、身の回りに起きたことや話題の騒動について、自由な意見を発信。今回は、新型コロナウイルスに感染したという友人のお話を紹介します。
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友達を通して、共通の友達K子(64才)が一家でオミクロン株に感染した、というニュースが飛び込んできたのは1月半ば。関西に住むK子とは何年も音信不通だったけど、心配で電話をしてみたの。
「参ったよ。もう1か月だよ。Tちゃんが一日中、テレビのリモコンを持って、リビングのソファで寝っ転がって悪態ついているんだから」
K子はいきなりグチる。「Tちゃん」とは彼女の2才年下の夫で、関西のとある町で中古車販売会社を経営している。かなりのやり手で、親から引き継いだ同族会社をどんどん大きくしていき、K子は上京するたびに違うハイブランドのバッグを腕にぶら下げてきた。
K子一家は大家族だ。長男(40才)・同い年の妻・3人の孫娘(10才、8才、4才)と、K子夫婦の計7人が大きな家を二世帯に分けて住んでいる。「正月明けからすぐゴホゴホと咳をし始めたのは、保育園に行っている末の孫娘でね……」とK子は話し出した。
「保育園でクラスターが起きたのよ。で、咳をし始めた夜、4才児は38℃近い熱が出たけど、翌朝にはケロッ。団子のようになって寝ているほかの孫は平熱で、せいぜい『お腹が痛い』だったり、ちょっと鼻水が出た程度」
それが週末だったので、長男一家は家から一歩も出ずに、K子が外階段を使って食料や日用品を運んだという。
「その後、長男も嫁も37℃後半の発熱をして、それから私。オミクロン株は人によって症状が違うっていうけどホントだよ。私は3日寝込んだけれど、38℃の熱が出たのは初日の夜だけ。ただ、体がだるくてだるくて起きていられなくてね。いちばん軽かったのは嫁で、のどにあった違和感も『小まめにうがいをしていたら治っちゃった』って言う。次が長男で1~2日、鼻水が出ただけだから、いつも通りに家で仕事をしていたわよ」
こうして1週間の間に、家族は次々に「ヘンな風邪」に見舞われたけれど、実は誰も病院に行っていない。ということは、オミクロン株かどうかもわからない。「なんでよ!?」と勢い込んで聞く私に、K子はこう言うんだわ。
「孫娘に症状が出たのが週末で、車で行ける範囲で開いている病院は1軒だけ。そこに保育園で感染した子供たちと親が押し寄せているのよ。ちょっと様子をみようかってことになるって。その代わり、『一家閉鎖。自主隔離。家族以外、誰とも会うな』とTちゃんが言い出したの」