愛犬とともにウクライナから陸路で国境を越えてポーランドに逃れた避難民(AFP=時事)

愛犬とともにウクライナから陸路で国境を越えてポーランドに着いた避難民(AFP=時事)

動物も家族、ともに国境を越えられるのか?

 こうした意思表明自体は人種、宗教、戦争含め海外のFacebookユーザーには珍しくもないし、筆者はパリの同時多発テロの時もフランス国旗を一時的に掲げたことがある。この明確な意思表示が好まれるポリティカルな面が実名制同様、一部の日本人になじまない理由なのだろうが、筆者はほとんどが海外の趣味友達なこともあり彼ら同様の行動をとってきた。当然、今回もタイムラインのあちこちでウクライナ側、ロシア側双方の意思の表明とそれにともなうSNS戦争が始まった。しかし今回は現在進行系の戦争当事者、戦場となっている都市の住民もいるだけに苛烈を極めた。

「すべてのロシア人が今日、何百万人ものウクライナ人が経験したことを肌で体験してほしい。 今日午前5時、平和なウクライナの都市に降ったロシアのミサイルと爆弾によって、10歳にも満たない未成年の子供たちが経験したことを、そしてウクライナの若い兵士と民間人がどのように殺されたかを体験するために」

 ごく一部の抜粋だがこの引用はロシアに実効支配されているクリミア半島のケールチュ出身でキエフ在住の政治アナリストによる投稿で、多くのウクライナのペキニーズ飼いがシェアしていた。もちろん筆者にも送られてきた。キエフのペキニーズ飼いは生活に関してのシェアもしている。

「親愛なる皆さん、どうか、私たちは本当にあなたの助けが必要です。水なし、食べ物なし。緊急の医療ニーズはこちら」

 これはキエフのインターネットポータルとエネルギー関連ニュースの専門エージェンシーEnkorrに勤めるキエフ出身ウクライナ人の情報で、この後に医療品や食料、バッテリー、毛布などの物資のリストが列挙されている。また軍事病院の案内もあった。かつて日本の東日本大震災発生時、それほどメジャーでなかったTwitterが一斉に活用されだしたのと同様に、ウクライナではFacebookが貴重な情報交換の場所になっている。あの時の日本人と同様の、生存のためのシェアだ。

「ウクライナ国防軍はロシアの攻撃者の進出を阻止している。チェルニーヒウで敵は止められた。ハルキウ方向と加盟軍作戦の地域で戦いが進んでいる。 ハルキウバイパスで4人の乗った戦車が焼けた。我々の軍隊はマリウポリとシュチャスティヤの町を全面管理下に戻した。 少なくともヘリコプター2機と数十機の装甲車が破壊された。ヘルソンの状況は複雑ですが、ウクライナ国防軍は攻撃者と戦っています」

 これはドニプロに住むブリーダー、リリア・ルブチクの投稿である。この情報の真偽は定かではないが、かわいいペキニーズたちと微笑むリリアが戦火の中にあることには違いない。ドニプロ(ドニエプロペトロフスク)はキエフ、ハルキウとともに侵攻を受けている。リリア、数週間前まで生まれたばかりのペキニーズの写真を上げていたはずなのに。

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