谷口:はい。たとえば圧倒的に女性の人数が多い職場では、“おっさん集団”になってしまうリスクがあります。
あと体育会系クラブのOG会なんかでも、「先輩の意見には逆らえない」という役員だらけですからね。女性だって組織になったときには、おっさんの論理がまかりとおってしまうワケです。
『女性セブン』の読者さんには、「夫を“おっさん”のまま留めたのではないか」「息子の前で夫の“おっさん”な振る舞いを是としてこなかったか」と顧みていただきたい。すると一気に自分事になると思うんです。相手を“おっさん”だと思ったときに、自分も“おっさん”の論理をよきこととしてきたんじゃないかと考えていただきたいんです。
山田:コロナ禍で、夫やパートナーとの関係を見直しているかたは多いでしょうしね。
谷口:リモートワークをしている夫の部下への高圧的な態度を目の当たりにした女性は多いようですね。内弁慶なだけで外ヅラはいいのかと思っていたら外でも“おっさん”だったと。ある女性は、夫から「組織とはこういうもんだ」と偉そうに言われたとかで「ウチは離婚の危機です」と(苦笑)。
山田:それは大変! そういえばツイッターに「おっさん被害者友の会」ができましたよね?
谷口:社会全体の問題として捉えていただきたいと担当編集者が開設しました。理不尽だと思っているのに誰も言い出せないことの延長に、戦争があると私は思っているんです。
山田:プーチン大統領が「裸の王様」だという意見もあります。
谷口:まさに裸で泳いでいましたよね? 誰も変だと思わなかったのかな?
山田:思ったらすぐ声を上げることが大事ですよね。「被害者友の会」のツイッターフォローさせていただきます!
【プロフィール】
谷口真由美さん/1975年大阪府生まれ。現在は大阪芸術大学で客員准教授を務め、国際人権法やジェンダー論を専門に研究している。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍。2019年6月から日本ラグビー協会理事を務めるも2021年6月にラグビー協会の主な役職から退く。
山田美保子さん/『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ〜テレ)、『アップ!』(同)、『バイキングMORE』(フジテレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。
※女性セブン2022年3月24日号