会員はシェアハウスで暮らし、勧誘活動にいそしむ(イメージ、Imaginechina/時事通信フォト)

会員はシェアハウスで暮らし、勧誘活動にいそしむ(イメージ、Imaginechina/時事通信フォト)

「マネージャーの責任は重大ですが、それにしても手が混んでいると思いました。会社のホームページを見ただけでは分かりませんし、その企業名を検索しただけでは、検索上位に問題があることを訴える何かは浮かび上がらないのです。我々も騙された! と思いました。当然ですが、そんな悪評のある企業のオファーだと分かっていれば、ギャラがいくら高額でもやりません。タレントは、信用やイメージが何よりも重要なんですから」(早田さん)

 X社が展開しているとされる「マルチ商法」や「マルチまがい商法」の実態を取材している、業界紙記者が声を潜める。

「X社はネット上でもかねてより悪徳企業と名指しされていて、大手紙やネットメディア、YouTuberなどがその悪質性を指摘しています。金儲けのために人が集まっているマルチ企業というより、何かを熱心に盲信する人たちによるカルト集団といったほうが適切な集団というのが、これまでのマルチ関連の集団と少し違うところです。会員をタコ部屋と呼んでもいいようなシェアハウスに住まわせて、彼らに路上で道ゆく人を勧誘させている内幕を、元会員がネット上だけでなく、色々なところで話し始めています。そんな実態を知らず、多くの有名人がX社のオファーを受け、セミナーに登壇したり、インタビューに応じている」(業界紙記者)

 タレントAと同じく、X社のオファーに応じてしまったと嘆くのは、都内在住の飲食店経営者・増田昭子氏(仮名・40代)だ。

「経営者になりたい若者にアドバイスが欲しい、みたいなオファーだったと思います。X社のことは正直知りませんでしたが、簡単なインタビューだけで数万円の謝礼があるし、他の著名人インタビューもたくさん掲載されていたので、信用できると思ってしまったところもあります。私自身、志のある若者の前でお話ししたいこともたくさんあったのでお受けしたんです」(増田さん)

 ところが、増田さんのインタビューがX社のホームページに掲載された数日後、部下が青い顔をして増田さんのところにやってきたのだという。

「部下はX社の悪評を知っていたそうで『これ本気でやってるんですか』といきなり喧嘩腰。事情を説明されて、目の前が真っ暗になりました。X社の話を持ってきてくれたのは、旧知の経営者の友人男性でしたが、その男性も事情を知らなかったようです。男性を通じて、記事を取り下げてほしいとお願いしたはずなのですが、なぜか今も掲載されたまま。今のところ、外部からそのことを指摘されてはいませんが、時限爆弾を抱えているような気持ちです」(増田さん)

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