球史に残る名コンビが主軸を張った(写真/共同通信社)

球史に残る名コンビが主軸を張った(写真/共同通信社)

 細かくチェックされることで、緊張感が生まれる。1967年にドラフト10位で巨人入りし、4年目に一軍定着して10勝11敗で新人王となった関本四十四はこう話す。

「ピッチャーがファーストのカバーに遅れてセーフになればピッチャーに罰金1万円。相手が福本(豊)だろうが関係ない。罰金はONも例外ではありません。長嶋(茂雄)さんが併殺打に終わった時、川上さんがベンチで査定スコアラーに“全力疾走していない。怠慢プレーだ。1万円つけておけ”と周りに聞こえるように声を掛ける。長嶋さんに罰金をつけることで、他の選手もピリッとさせる狙いがあるわけです。

 オフの査定では、“チーム打率”という考え方もありました。バントでなくても進塁打を打てば、打数から引いてくれる。進塁打で貢献すれば、『打率2割5分』が『チーム打率2割8分』になったりして年俸が上がるということです」

 勝ちに徹するための仕組みが作り上げられていた。関本は後に太平洋、大洋に移籍するが、「巨人では常識だった細かいサインプレーが、他では大雑把だった。これでは巨人に勝てないと思いましたよ」と語るのだった。

(第3回へ続く)

※週刊ポスト2022年4月22日号

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