ライフ

気鋭の小説家・大前粟生さんが語る「イマドキ男子の恋とモヤモヤ」

大前

『きみだからさびしい』が話題を呼んでいる大前粟生さん

 ここ数年で若者を取り巻く状況は大きく変わっている。SNSでつながることが当たり前になる一方で、コロナ禍でリアルなコミュニケーションは激減――。しかしそんななかでも人を好きになる気持ちは変わらない。いまを生きる若者たちは、一体どんな恋愛をしているのか? 切なくもみずみずしい青年の恋を描いた『きみだからさびしい』(文藝春秋刊)が話題の作家・大前粟生さんに聞いた。

《今の時代、恋愛っていうのが、そういう目線で誰かが見るっていうのが、その人を傷つけてしまうかもしれへんじゃないですか》

 大前さんの新著『きみだからさびしい』の主人公の圭吾は京都の観光ホテルで働く23才。ランニング中に偶然出会ったあやめに恋をするが、自分の男性性によって好きな人を傷つけるのではないかと悩む。そもそも恋愛感情は一方的なものであり、ストーカーと何が違うのか、と。

「恋愛に限らずコミュニケーション全般にいえることだと思うのですが、いまの若い世代はどんな言葉が相手が傷つくのかということを、身をもって体験するより前に、SNSやネットなどから“情報”として知っている人がすごく多いように思います。そしてそのことにとても敏感だから、『誰かを傷つけないように』と、自分で自分の言動に制限をかけてしまう人も多い気がしますね」(大前さん、以下同)

 大前さん自身も、そんな思慮深さゆえの“制限”を自覚しているという。

「例えば、新しく知り合った人が、見た目も名前も女性だとこちらが認識したとしても、それは本人の自認次第だと思うので、いろいろ考え込んでしまいますね。友人関係でも、過剰に相手のことを聞かないようにしている部分があって。何度も会って遊んだりして親しくなった友達でも、本名や年齢、バックグラウンドを知らないということも少なくないです」

 日本でも恋人や配偶者のことを「パートナー」いう呼び方が浸透しつつあり、アメリカでも「She」でも「He」でもないノンバイナリーを示す「They」という呼び方が広まったり、「Ladies & Gentleman」という呼びかけをやめようという動きもある。性別や属性を特定する言葉を避けるニュートラルな動きは世界の潮流でもあるのだ。

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
工藤遥加(左)の初優勝を支えた父・公康氏(時事通信フォト)
女子ゴルフ・工藤遥加、15年目の初優勝を支えた父子鷹 「勝ち方を教えてほしい」と父・工藤公康に頭を下げて、指導を受けたことも
週刊ポスト
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン